【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語3【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ18)

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第113話ページ18

「お前･･･それオスマンの二の舞踏むで？」
「え～？」
呆れ顔の兄さんにそう言われるが、しんぺい神は穏やかに笑ったままAと繋ぐ手をしっかりと恋人繋ぎする。
「し、んぺい、神･･･さん･･･？」
Aは戸惑った様子で、しんぺい神を見上げて声を掛ける。
「ほら、Aちゃん少しふらついてたからさ？手を繋いでおけば安心安心！」
「(ふらついてたのか･･･気づかなかった･･･)」
しんぺい神の話を聞いて、Aは心の中で納得した。
「おま･･･まぁ本人嫌がってへんからええけど･･･。」
そう言ってトントンが溜め息を吐くと、しんぺい神は嬉しそうに笑った。

「あっ。Aちゃん昨日はよく眠れた？隈が少し薄くなってるっ。」
そう話しかけるしんぺい神は空いている手の親指で、Aの片目の涙袋を撫でた。
「･･･そう、ですね･･･。昨日は、夢を･･･見なかった、です･･･。」
Aがそう話す間に、しんぺい神はAの涙袋から指を離した。
「夢見悪かったの？俺に言えば睡眠薬処方してあげたのに･･･。」
「･･･なるべく、薬には･･･頼りたく、なくて･･･。」
「それは偉いっ。」
「･･･ペ神？そろそろ校門着くから離しな？」
「はーい。」
微笑んでいる兄さんに言われて、しんぺい神は少し名残惜しそうにAから手を放した。
「(･･･しんぺい神さん･･･手、温かかった･･･)」
Aはしんぺい神と繋いでいた手をボーッと眺めて、そんな事を考えていた。

「･･･やっぱ俺等がおると手ぇ出さへんな。」
「･･･？」
トントンが呟いた事に、Aは首を傾げる。
「1人になる隙を窺っているんだろうな。
　＿弱者はそれでしか自分の欲求を満たせずにいるんだ。憐れだな。」
やっと口を開いたグルッペンは、無機質な声でそう言って周りに冷ややかな目線を送った。
「(･･･もしかして･･･？)」
Aはトントンとグルッペンが言っていた意味を、少し遅れて理解する。
　先程まで感じていた自分に向けられる視線が、なくなってた。
グルッペンが冷たい視線を送ったからだろうか、それは分からないがグルッペンは小さく溜め息を吐いた。
「A。今日の授業は？」
兄さんに優しい声で訊ねられて、ボーッとしていたAはハッと我に返る。
「えと･･･午前は、基本教科で･･･午後は、【基礎魔法学】です･･･。」
「そっか。誰かしら授業終わりに行くから、出来れば待っててな。」
「は、はいっ･･･。」