第146話 ページ47
「・・・」
自分の執務室に戻って来た鬱は、書類作業でしか殆ど座らない仕事机の席に座る。
そして再度、ロボロから貰った資料をゆっくりと見直す。
「(･･･“実験体について”て･･･
モンスターの情報の中に紛れさせんなや。
コレの事やろうなぁ、
しんぺいさんが見つけて欲しい情報)」
鬱が目をつけたのは、資料の中間辺りに載っていた情報。
名前も性別も伏せられているが、細かく実験の過程が描かれている所がある。
要約をすると、以下の事が書かれていた。
ゾンビの血液を投与した際には、1時間程第2段階の症状が見られて、徐々に正常に戻った。
傷をつけると、擦り傷程度であればすぐに塞がった。
しかしゾンビの細胞組織長再生能力は、低度のものであった。
スケルトンの頭蓋骨の欠片を食事に混ぜ投与した際には、1時間程度身体の硬直が見られて、徐々に正常に戻った。
身体中で頭蓋骨のみ、常人より硬度が高い事が判明。
しかしスケルトンの頭蓋骨・異常硬度は、程度のものであった。
スライムの欠片を飲み物に混ぜ投与した際には、1時間程度血と共にジェルを吐き出していたが、徐々に正常に戻った。
一部の体液と臓器のジェル化が判明した。
しかし一部のみだった。
全ての変化から、有能な素体として丁寧に扱いつつ、長期間を空けての再投与が必要である。
「･･･なーにが、『丁寧に扱い』や。
あの身体の何処が“丁寧に”扱っとんねん」
ボソッと呟いた鬱の表情は、険しい顔をしていた。
「やっぱり気づくの早いねー、大先生」
「ん、しんぺいさんやん」
いつの間にか入って来たしんぺいは、ゆっくりと鬱の方へと歩いて来る。
「Aちゃんやって分かっとらんと、
『ただの可哀想な人がおったんやな〜』で終わるんやけど。
しんぺいさんに言われたら嫌でも分かってまうわ」
「『知りたい』って言ったのは大先生でしょ〜？
そんな険しい顔しなくていいじゃんか」
「･･･Aちゃんどうしとるん？」
「疲れたから、自室で寝ちゃったよ」
「そっか･･･なら行けへんな」
鬱はそう言って、頭をガシガシと掻く。
「･･･確か、グルちゃんが引き抜きの事伝えたら、
Aちゃんだけダメとか言われたらしいんやけど･･･」
「うん。多分コレがあるからだろうね」
しんぺいは鬱の資料を見ながら、そう答える。
「･･･ハ〜･･･メンドイ事なりそ」
「(･･･そう言いながら準備始めるんだから大先生は･･･)」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
眼目夢子(プロフ) - らとるだお()さん» コメントありがとうございます！こんな感じの夢主、私も好きなんです(*´ω｀*) (2022年4月12日 7時) (
レス) @page50 id: cd5f0ffb10 (このIDを非表示/違反報告)
らとるだお() - 夢主ちゃん可愛いですなぁ…(*´꒳`*) 眼目夢子様の夢主ちゃん俺の好みでありがたいｯｯｯｯ‼︎(*´∇｀*) (2022年4月11日 22時) (レス) @page44 id: f62a5d0896 (このIDを非表示/違反報告)
眼目夢子(プロフ) - 萌猫さん» 萌猫さん、読んでくださりありがとうございます！今回も沢山の方が出てくるので、お楽しみに！です！！萌猫さんもお身体にお気をつけてお読みくださいっ！！ (2022年3月12日 22時) (レス) id: cd5f0ffb10 (このIDを非表示/違反報告)
萌猫(プロフ) - 続編おめでとうございます！輪廻巡りからどハマりして漸く作者様の過去の作品も読み終わりました。今回の作品もどのように進んでいくのか凄く楽しみにしています！お身体にお気を付けて更新頑張って下さい、応援しています‼︎ (2022年3月12日 22時) (レス) id: 50be2ea41a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：眼目夢子 | 作成日時：2022年3月8日 7時
