好きにさせてやる【煉獄杏寿郎】

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「……っ、ちょっと……やめ……」
「返事をするまでやめない」


　膝から太もも、さらにはその上へ舌を這わせる。下着の上からそっと舐め上げると、Aの体がビクッと反応を示した。スルッと身につけていたものを足元まで下ろし、熱くなったそこへ再び顔を近づける。


「……わかった……から。杏寿郎の望み通りにするから……安心して」


　息を乱し、脚をふるふると震わせながら、艶めかしい声でようやく頷いたA。かわいそうに……。きっと本望ではないだろう。わかっている。

──だが、俺を理解しようと一生懸命な君もまた、たまらなく愛おしいのだ。


「もし約束を破ったら、そのときは──君の足を鎖で繋いで寝室に閉じ込めてしまうかもしれない」


　声のトーンを落として耳元で囁けば、
「怖いことを言うのね」と君は笑う。

　ほんの少し引き攣った顔、ビクッと震える肩、生唾を飲む小さな音さえも、すべてが愛おしく感じて、俺はAの体を自分の胸に引き寄せた。


「A、明日は盛大に祝おう」


　テーブルに置かれた婚姻届。すでに文字で埋め尽くされたそれを、ちらと見て目を細める。
　
　小さく頷いたAの顎をくいっと指先で上げた。

　甘ったるいキスを交わせば、Aの甘ったるい声が聞こえて、より一層激しく唇を重ねる。
　ボタンを外すのももどかしくて、服の上から敏感なそこを指で弾くと、「あ……」と可愛らしい声を出しながら、俺の腕をぎゅうと掴んできた。


「まったく、君は……」


……もう止めてやれない。

　強引に服の中に手を入れて、やわらかい肌に指を滑らせていく。

　しだいに沈む身体。熱い視線が絡まり、Aの細い腕がゆっくりと俺の背中に伸びた。


「まさに……"手が入れば足も入る"、だな」


　にやりと口の端を上げた俺を見て、
「え？」とAが小首を傾げる。


「ハハ、なんでもない！君は最高だな。最高に可愛い、俺の妻だ」


　意味なんてわからなくていい。知らなくていいんだ、A。

　純粋で無垢な君は、ため息が出るほど、可愛くて美しい。


「愛している、A。狂おしいほどに」

　
　細く白い首筋に噛み付くような口付けを落とすと、Aの体がピクンと小さく跳ねた。


　綺麗な愛じゃなくても、歪んだ愛だと思われても。
　俺は君を、一生愛し続ける。

──A、君はもう俺のものだ。
　
　決して離しはしない。

　永遠に。







【おわり】


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