10数えたら、【天童覚】 (ページ4)

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「ほい、10秒だけ飲んでいいよ」

「よし、全部飲んでやる」

「俺のお金！」

冷たいミルクティーに口をつければ、甘ったるさが舌に纏わり付く

きっちり10秒数えていたらしい天童は、

ひょいっと私の手の中にあった缶を奪った

…10秒なんて基準をつくったのはいつだったか

ゲームも漫画もテレビも、取り合いしてたせいで

いつの間にかつくられていた

まあ実際、10秒なんて短すぎるから

かなり大幅に過ぎてることもあったけど

隣で美味しそうにミルクティーを飲む彼

…結局のところ、私たちの関係性はなんなんだろう

幼馴染みって締めくくられればそれまでだし、

かといってそれだけかと問われればきっとお互いなにも答えられない

「ねえ、天童」

ミルクティーに夢中になる彼を見て、あのもやもやがまた邪魔をする

ゲスなんて呼ばれてるくせに、
なにかに真っ直ぐ打ち込む天童の姿は嫌いじゃない

なのに、そのきらきらとした後ろ姿を見ると

心に霧がかかったような感覚がして

それは私が、何かに夢中になれていない、焦りなのか

…いや、

ーーー…きっと、ずっと並んで歩いてきた彼に置いてきぼりにされるのが怖いんだ

呼んだはいいものの、特に話すこともなくて困っていると

意外なことに天童から口を開いた

「その天童っていうの、やめない？」

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