おっぺけ四人組、今日もゆるーく活動中。【オリジナル】 (ページ43)

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おっぺけ日誌その２５ページ43

片付けも終わり、右も左も分からないままだが何とか4人での共同生活が始まるかと思われたその夜だった。
私達4人はリビングでテレビを見ていた。
ちょうどお笑い番組がやっていたようだ。

｢なあなあ、前から思ってたけどこの芸人面白くないよなー｣

ひいたばかりのカーペットに寝そべりながら福沢が言った。
それに同調するようにソファに座る奥沢と犬川も頷く。

｢前川的にはどうよ？この芸人面白いと思う？｣
｢え、何で私に聞くの｣
｢いや、前川ってたまに変なところでツボるじゃん｣
｢失礼だなおい｣

今まで机に向かって明日買い足したいもののリストをメモしていたのだが、
奥沢に話を振られてテレビに注目する。
コスプレ、もとい衣装であるのか頭にツノを着けた男芸人2人が漫才をしている。
口調的に関西人だろうか。

｢…おもしろ…くはないかな。というかこの芸人知らないわ。｣
｢マジかよ！今大流行してるお笑いコンビだよ！？面白くねーけど！！｣
｢そうなの？知らなかった…というかちょこちょこ酷いな福沢｣
｢福沢は正直なだけだから。良くも悪くも。｣

ソファの上で胡座をかいている犬川がフォローを入れる。その目はテレビを向いたままだが、表情は真顔である。

｢それよりこの芸人が着けてるツノが気になってネタが入ってこないな…このツノいる？｣

テレビに映る芸人のツノが気になるのだ。
1人は羊のツノ、もう1人はユニコーンのような一本ヅノだろうか。統一性がある訳でもないし、そのツノをネタにする気配もない。

｢何言ってんだよ前川、着けてるってこれホントに生えてるやつ…｣

ピーンポーン

犬川が私の言葉に答えかけたその時、玄関のチャイムが鳴った。
もうすぐ9時になるというのに、誰だろうか。
ちょっと出てくる、と言って私は玄関に向かう。

廊下まで出て、そう言えばお隣さんに挨拶をしていないなと気付く。
マンション暮らしをしたことが無いのだが、どこまでが｢ご近所さん｣として挨拶をするものなんだろうか。
同じ階の住民には全員挨拶したほうが良いのか…？
変な人じゃなかったらいいな、怖い人だったら嫌だな、などとまだ見ぬご近所さんのことを考えながらドアを開けると、

｢のわぁっ！？｣

棒のようなものが私の頭めがけて振り下ろされてきた。
何とか後ろに転ぶようにそれを避けて犯人らしき人を見ると、

｢こんばんは。よく避けましたね。｣

そこには、昼に荷物を運んでくれた後颯爽と帰っていった、佐藤さんがいた。