おっぺけ四人組、今日もゆるーく活動中。【オリジナル】 (ページ40)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:14,674 hit

おっぺけ日誌その２３ページ40

｢団長｣と呼ばれると、おっぺけ団を結成した頃を思い出す。

中学校2年の秋、学校帰り。
家の近い私と奥沢は、一緒に下校することが多かった。
そして、別れ際になる田んぼに面した道の、電柱の側で井戸端会議をするのが私達の恒例だった。

｢ねえ前川｣
｢ん？｣
｢今度さ、またあのメンバーで集まろうよ｣
｢…どのメンバー？｣
｢私と前川と犬川と福沢｣
｢あぁ、あの2人か｣

学校の定期テストを目前にした休日に、4人で集まったことがあった。
私の家で、勉強会をするために。
その時に集まったのがこの4人グループの最初だったと記憶している。

『友達と勉強会をする』という言葉ほど信用ならないものはない。
半ば予想通り、私達は集まった時間の殆どを勉強ではなく遊びに使った。
それはどうしようもなく、楽しい時間だった。

｢あのメンバー面白いし何か居心地良いし、確かにまた集まって遊びたいな｣

私は奥沢の提案に乗った。
すると、奥沢は顎に手を当てて何か考え始めたのだ。

｢『あのメンバー』だと、誰か分かりづらいよね｣

なるほど、確かに。
何か名前を付けてしまおうということらしい。

｢名前…◯◯団とか◯◯組みたいなの方が呼びやすいかな｣

名前を付けるなら4人全体を象徴出来るものが良いだろう。
私も何か考えてみようとしたが中々良いものは浮かんでこない。
私には昔からネーミングセンスというものがないようだった。

｢…ぺけ｣

そうこうして私が悩んでいたその時、奥沢がぽつりと呟いた。

｢…おっぺけ｣

ふと、脳内にいつかの社会科の教科書が浮かび上がった。
そして、オッペケペー節。その単語が続いて浮き上がる。
確か、明治時代に流行った歌か何かだったか。
教科書の隅っこにちょこっと載せられた、テストに出る事はほぼ無いその歌。
しかし、その名前の存在感は何気に大きかった気がする。

そして何より、その単語の響きは何ともアホっぽい。

｢おっぺけ！おっぺけ団か！良いじゃん！！｣

思わず大きな声が出た。
言葉に形容すると難しいが、何だかとても私達4人に合っている名前に感じたのだ。
そう感じたのは奥沢も同じだったようで、私と同じく大いにテンションの上がった様子だった。

｢…じゃあ明日あの2人にも伝えようか、この名前。｣
｢そうしよう、団長｣
｢ん？団長？｣
｢団ってことは団長居るでしょ。前川が一番それっぽい。｣
｢いやいや無いって｣

奥沢の推薦(？)を軽く流して、その日はお互い帰宅した。