おっぺけ四人組、今日もゆるーく活動中。【オリジナル】 (ページ13)

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おっぺけ日誌その６ページ13

「もうやめてくれ！俺のために争う必要は無いんだ！
俺は…俺はッ！透も律も愛している！」
「そんな…でも、選んでくれないと困るのよ！私と律、どっちを取るの！？」

あれから数分、私達がぐだぐだと茶番を続けているうちに、佐藤さんの運転する車はとあるインストラクター派遣所に到着した。
停めた車から降り、「もうやめようぜ」と笑いながら茶番を終わらせたその時、

「皆さん、避けて下さいッ！」

佐藤さんの叫びとほぼ同時に、私と犬川、奥沢の立つ場所へ福沢が転がり込んできた。
文字通り、転がってきた。

突然の事で、先程まで謎茶番を繰り広げていた私達には勿論避けることは難しく、

「うおっと」
「のわっ！？」
「ぐえっ！？」

それぞれが可愛いげのない声を発しながら、犬川は咄嗟に身をかわし、私と奥沢は福沢の転がりに巻き込まれて転んだ。

奥沢を下に敷き、福沢にのしかかられた状態で顔を上げて福沢の転がってきた方を見ると、
二、三体のゾンビらしきモノがこちらに向かって来ていた。

「えっ…？」

…いやいや、さっきまで居なかったよね？ってか完全にこっちに向かって来てない？何もしてないはずなのに？？
でもそいつらの光のないくすんだ目は確かにこちらを向いていて。
私達に近付き、手を振り上げ…

あ、これ、ヤバイ。

「だから…避けろと言いましたよね…！」

…動けない私の目の前で、ゾンビ達の首が飛んだ。
それと共に残された体もぐらりと揺れ、崩れた。

佐藤さんが、一度に三体のゾンビを倒したのだ。

「…凄い」

犬川が、ぽつりと呟いた。
転がってくる福沢を避けた犬川は、全てを外側から見ることができたのだろう。

確かに佐藤さんは凄かった。
まず単純に、そんな事が頭に浮かぶ。私達は、そんな佐藤さんに助けられたのだろう。

あの時ゾンビが手を降り下ろしたら私は死んでいただろうか？それとも私の上に居た福沢？
いや、ゾンビ達は刃物を持っていた訳じゃない、素手だった。怪我をするだけかも知れない。

「「…でも、怖いな。」」

後から溢れた恐怖は、こんな簡単な感想となって私と犬川の口から零れた。