6話 始業式 ページ8
「始業式って何でこんなにだるいのかねー…」
隣に座っている犬川がぼやく。
現在地、体育館。
始業式を執り行うため体育館へと集合させられた私達生徒は各クラス男女四列になって座っている。
犬川の方が私より背が高いが、身長が近いことに変わりはない。私と犬川は隣同士になる。
「校長話なげーよ…ケツ痛えわ」
眉間にシワを寄せて犬川はまたぼやいた。
私に話しかけているというよりは独り言を呟いている感覚なのだろう。
そんな犬川からの忌々しげな視線を受けている校長は登壇して何かを話している。
正直耳を傾けていなかったので内容は知らない。
「…校長先生、ありがとうございました。続いて生徒会からの言葉です。代表の水原真一さん、お願いします。」
「…やーっと終わりかと思ったら次は生徒会？」
ぼーっとしていた頭にアナウンスの声が響く。
ついでに犬川の三度目のぼやきも聞こえた。
「なあ前川、水原真一って確か生徒会の副会長だったよね」
「ん？そうだけど…どしたの急に」
「あれ変わってくんね？水原話長い」
「無理。やりたくないしまず譲ってくんないよ。ああいう人の前で話する系のヤツ。」
「ふーん…あーケツ痛え…」
犬川はそう言って俯いた。体育座りをした膝に顔を埋める形で。このまま眠るつもりだろう。
水原真一。今現在進行形で全校生徒の前で話をしている人物。
私たちの同級生で時雨ヶ丘学園中等部の棋道部部長。
適度な長さに切り揃えられた真ん中分けの黒髪。
顔立ちは若干たれ目だが気の強そうな眉をしているため、総括して真面目な印象を受ける。
あと眼鏡。黒縁の眼鏡をかけている。
真面目な印象がそれだけで濃くなる気がする。
そんな彼が務めている役割、それが生徒会の副会長だ。
生徒会の副会長は今日のような式典やイベントでの仕事が多いが、主に生徒会長の補佐として活躍する。
ちなみに副会長の座は二つある。
その一つに水原真一、もう一つに実は私がついている。
犬川が「代われ」と言ったのもその所以だ。
「…以上をもちまして、平成〇〇年度、始業式を終わります。」
水原のスピーチも(長かったが)終わり、体育館にアナウンスの声が響く。
これから各クラス教室に戻って学級活動が行われるのだろう。
自己紹介をしたり委員会や掃除場所を決めたり…
毎年の事ながら少し面倒に思う。
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虎珀(前川)(プロフ) - ありがとうございます！！だらだら更新していますが今後も読んでいただけると嬉しいです…！ (2017年6月11日 17時) (
レス) id: e92529ad64 (このIDを非表示/違反報告)
ひげちゃん(プロフ) - とても面白かったです！リアル忙しいと思うけど更新頑張ってください笑笑応援してます(´ω`＊) (2017年5月31日 21時) (レス) id: ec25b2831b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：片桐(前川) | 作成日時：2017年4月23日 21時
