5話 前川と福沢の出会い ページ7
靴箱を抜けて三年Ａ組の前を通り過ぎ、Ｂ組へと足を踏み入れる。靴箱から近いのは楽でいい。
一階にあるのはＣ組までのようだ。
ちなみに時雨ヶ丘学園(中等部)には各学年六つ、計十八のクラスがある。
三年Ｄ組からは二階にあるのだろう。
高等部はコース編成等から生徒数は大きく違わないもののクラス数は多くなるようだ。
「前川ぁ、お前の席私の後ろだってよ！」
「またかよ」
教室に入るや否や座席表の貼られた黒板に駆けて行った福沢がまた駆け戻ってくる。
福沢(とあとの二人)とは三年間同じクラスだが、特に福沢とは毎回出席番号が隣同士という謎の接点がある。
よく「二人ってタイプ違うのに何故か仲良いよね」と言われるのはその所以だ。
「うめぇ棒は何味派！？」
これは福沢が私に初めて話し掛けた言葉である。
入学早々、前の席に座って堂々とうめぇ棒を食べている少女(福沢)に面食らいながらも私は自分の席に着いた。すると、福沢は突然その茶髪を勢い良く揺らしながら私の方に振り返ったのだ。
そして「おはよう」や「初めまして」をすっ飛ばしたその問いが飛んできたのだ。
「うめぇ棒は何味派！？」
「…た、たこ焼き味…？」
私は言葉の意味を完全に理解できていないまま、苦し紛れに福沢の持っていた(食べかけだった)うめぇ棒の味をそのまま答えた。
すると、福沢は何故か俯き気味に黙り込んでしまったのだ。
質問しておいてこうされると困る。
どうしたものかと頭を悩ませかけたその瞬間、福沢は勢い良く顔を上げた。
「たこ焼き味美味しいよね！わかる！！
うめぇ棒のたこ焼き味は初代うめぇ棒の三種類の一つとしてファンの中でもすっごい人気なんだよ！
原材料の輸入が困難になって一時期は生産中止になっちゃったんだけど、ファンの熱い声もあって五年くらい前に復活した！このたこ焼き味の復活は間違いなくうめぇ棒史に残る出来事だね！！
あとたこ焼き味はうめぇ棒の中で最も原価の高い味なんだよ！これは製造中止になった原因の一つだったりもするんだけど、見事復活した不景気の今、このたこ焼き味を昔と変わらない十円という値段で販売できてるのは本当に凄いよ！！
勿論これは他の種類にも言える事なんだけどね！！！」
半端ないマシンガントークだ。
その後福沢は時間の許すまでたこ焼き味の良い所を語り続け、それを適当に相槌を打ちながら聞いていた私は「こんなに熱心に聞いてくれた人初めてだよ！」と何故か福沢に気に入られた様で、その後やたらに絡まれるようになった。
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虎珀(前川)(プロフ) - ありがとうございます！！だらだら更新していますが今後も読んでいただけると嬉しいです…！ (2017年6月11日 17時) (
レス) id: e92529ad64 (このIDを非表示/違反報告)
ひげちゃん(プロフ) - とても面白かったです！リアル忙しいと思うけど更新頑張ってください笑笑応援してます(´ω`＊) (2017年5月31日 21時) (レス) id: ec25b2831b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：片桐(前川) | 作成日時：2017年4月23日 21時
