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「一般隊士に柱の方が何の御用ですか」
「俺だって好きで声をかけたわけじゃねぇ」
「なら、早く離してください」
「それは無理な話だな」
任務帰り中、急に声を掛けられ、腕をつかまれた。
確かこの方は、音柱の宇髄天元様。いわば、私の仕事のお偉いさんだ。
派手好きで有名な彼。
一方で地味で目立たぬ一般隊士の私。
共通点はゼロに等しいし、おそらく今日が初対面だと思う。
「お前、天宮Aだろ」
は…?
思わぬ言葉に目を見開いて、体が固まる。
私の反応に確信をついたように彼はうなずいて、来いと腕を引っ張られた。
任務で疲れていたし、柱に抵抗する気力もなかった私はされるがまま、彼に連れていかれた。
大きな屋敷につくなり、彼は私に刃を向けた。
「俺と手合わせをしろ」
「……はい?」
先ほどから、この人は何を言っているんだ。
柱と手合わせ?殺す気か。
「嫌です」
「派手に戦って見せろ」
「なぜですか」
「お前の実力が気になるからだな」
猶更、意味が分からない。
しかしここから逃げることができる気もしないので、渋々戦闘態勢へ。
_数分後
「地味に弱すぎんだろ」
「ふざけ…し、死ぬ…」
床に倒れこんで、呼吸を整える。
任務帰りにこれはつらい。
容赦ねぇし!
「お前、刀はどうした」
「なくしました」
「階級は」
「癸です」
彼はしばらく考え込んでいた後、私を見て言った。
「はぁ、わりぃ、俺の勘違いだったみたいだわ」
明らかにがっかりした様子でため息をつき、音柱様は私に背を向けて手をひらひらさせた。
「お前、鬼殺隊やめた方がいいぞ」
最後にそう嫌味ったらしく言い残して、屋敷の中に入っていった。
「はああああああ!?」
取り残された私は、あの音柱様、いや、音野郎の顔面を殴りたい衝動を抑えて、家に帰った。
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作者名:No・2 | 作成日時:2021年4月20日 1時