ラブレターはゴミ箱に捨てましょう【Soya.I】 ページ7
駅から徒歩15分という対して立地も良くないこの高校に入学して約半年、事件は起きた。
きっと学生だけでなく、先生達も待ち望んでいたであろう華の金曜日。周りが明日は部活の大会だの、話題の映画を観にいくだのと盛り上がっている玄関で、下駄箱を開けばはらりと何かが足元に落ちる。
屈んで拾い上げたそれは真っ白な便箋で。綺麗な字で宛名は書かれていても差出人は書いておらず、頭にはてなマークを浮かべながら封を開いていく。
【好きです。直接伝えたいので今日の放課後体育館裏に来てください。 1-B吉田】
一度手紙を閉じて深呼吸、そしてもう一度中を確認。間違いない、これは告白だ。差出人の彼の事は残念ながら存じ上げないけれど、生まれて初めての所謂「ラブレター」に思わず気持ちが舞い上がる。
吉田くん、どんな人なのだろうか。
.
「朝から何にやついてんの」
「ふふふ、気になる?」
じゃーん!なんて効果音をつけながら隣の席の猪狩に便箋を見せれば、頬杖をついていかにも興味無さそうなご様子。自分から聞いておいて失礼なやつだな。
「何それ?果たし状?」
「果たっ……、違います!ラブレターだもん!」
そう言うと猪狩の眉が少しひそめられた気がするけれど、私には関係のないこと。吉田くんのいるBクラスはちょうど隣のクラスだし、あとでこっそり見に行ってみようかな。
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作者名:百瀬 | 作成日時:2019年4月12日 2時