【all?】ヘタレ男と(3) ページ49
恥ずかしさからか、怒りからなのか。顔を真っ赤にしながら酒を呷るだるま。その後しばらく「でも」や「だって」を駆使したヘタレ男の相談は続いた。配信外のだるまいずごっどは何とも情けない男だ。
まぁ俺も人の事は言えないのだが。
隣を見ると、だるまが気付いていないのを良い事になるせがスマホで録音しているのが見えた。だるまは後でこれを聞かされるのかと思うと笑いが込み上げてきて仕方がなかった。
.
v「そういえば、相手の人って」
d「ん…何？」
v「いや、相手の人って一般の人？何か聞きそびれたなーと思って」
a「あー確かに」
n「そういえば言ってなかったかも」
d「えー……言わなきゃダメ？」
a「ここまで話聞いとるんやからなぁ？」
v「そうそう」
d「それは、そうなんやけど…」
n「……というか、渋るってことは一般の人じゃなくない？」
なるせの一言に俺達3人は顔を見合わせた。
そして、居心地悪そうなだるまの反応を見て確信する。
a「…マジ？」
d「……まぁ、うん。そうね。」
n「一応聞いとくけど、それってー…芸能人とかでは…」
d「ないないない、全然ない！」
a「芸能人では無いけどー、ネット活動者？」
d「そうやね。相手もストリーマーよ」
n「うわーストリーマーかー！」
v「茨の道やん」
d「向こうの気持ちが分からんから何とも言えんけど、もしそうなったら覚悟の上よ」
n「かっこよ！？」
v「それ、相手の人誰か聞いても大丈夫？」
a「待ってバニ。それ聞いてこれから先その人と絡むことあったらどうする！？」
v「た、確かに！その人の事そういう目で見ちゃうかもしれん」
d「そういう目って何やねん」
a「だるまの事を誑かした女」
d「クッソ失礼やん」
だるまの言葉に思わず笑う。しかし、相手の情報を聞いてしまえば今後関わる機会があった時どういう態度を取ってしまうか分からない。
俺達がそんなことを考えていると、
だるまは、少し照れたようにその名前を口にした。
d「─────」
まるで、谷へと突き落とされた様な感覚に陥った。
そしてあー、なるほど。と納得してしまった。何故ここまでお膳立てされていたにも関わらずだるまが自信を持てなかったのか。それを理解出来てしまった気がして、少しだけ切なくなった。
きっと彼女はだるまの事を好きなのだろう。
しかしそれは本人自身でさえ気付いてないのかもしれない。
お膳立てしていたのは恐らくそれに気付いた周りの人間だろう。
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作者名：之 | 作成日時：2023年5月6日 17時
