【d】愉快な彼(1) ページ27
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どわぁぁああああああーーーッ！！！！！！
突然の轟音に何が起きたのか分からず、つい今まで眠っていたベッドから飛び起きる。覚醒しきらない頭で周りを見ると、共にベッドへ入っていたはずのもう1人の姿が無かった。トイレにでも行ったか？そんなことを考えながらも再度ベッドへと潜り込み、驚きのあまり早まっていた心臓を落ち着かせた。先程のアレは一体何だったのだろう…？思い返してみるとあの轟音は彼の声だったようにも感じる。
そうだとすると、彼は一体何に対して声をあげた…？
まさか…強盗？
いやいやいや、まさか。流石にそんなわけ…。
しかし、彼“だるまいずごっど”と言えば今や有名ストリーマーだ。普段あれだけ気を付けていたとしても、住所を特定され強盗に入られるなんてことも無くもないのかもしれない…。Vの方で配信中に泥棒が入ったという話だってあったのだ。何が起こっても不思議では無い。だとすると…？
こんなこと考え込んでいる場合ではない。
念の為部屋の中を見渡し武器になりそうなものを探す。が、特に見つからない。こんな事なら木刀でも置いておくべきだったか…心許ないが今はこれしかない。それを握りしめ私は慌てて部屋の外へ飛び出し『だる！！』と叫んだ。
「っA…」
彼の弱々しい声がリビングから聞こえてきた。どうやら無事なようだ。警戒しつつ明かりのついたリビングへと足を進める。
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リビングを見渡す限りどうやら強盗の姿は無さそうだ。隠れられる場所と言ったらキッチンぐらいだが、彼の様子を見る限り恐らく強盗がいるという訳では無いのだろう。ひとまず安堵する。そして、普段の視線よりも大分高めの位置にいる彼に目を向けた。
『……何してるんだ？』
「…A」
そこにはテーブルの上で及び腰になっている彼。
血の気が完全に引きった表情でしきりに「A、助けてえ…」と懇願してくる。まるで悪霊だ。一体何なんだこの状況。
「おんねん…アレが」
『アレ…？』
「名前を言うのもはばかられる例のアレやて…」
『そんな例のあの人みたいな言い方されても…』
「冗談言ってる場合ちゃうぞ！？」
「とにかく！そこ！そこにおるんやて！」そう彼が指し示す方向へ目を向けるも特に何もない。視線で何も無いことを訴えるも彼は「もっとそっち！」と言うばかり。何が何だか分からずそちらへ寄ると、その答えを理解するのに時間は掛からなかった。
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作者名：之 | 作成日時：2023年5月6日 17時
