【v】最悪な気分(2) ページ23
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そうこうしているうちに話が終わったようで、彼氏と言われていた男子生徒が空き教室から出てきてしまった。まさかこんな急に話が終わるとも、こんな急に空き教室から出てくるとも思っていなかった俺は、逃げ出すことも出来ずただそこに立ち尽くしていた。そんな俺を見た男子生徒は心底驚いた表情を見せたが、すぐに“何故お前がここに居るんだ”とでも言いたげな顔で一睨すると足早に去っていった。
あー、嫌なもん聞いちゃったな…。
2人が行っていたやり取り、それは
二人の関係が恋人から友人に戻ったというものだった。
所謂、別れ話。
よくある話ではあるが、まさかこんな形で目の当たりにするとは思ってもみなかった。
一体Aになんの不満があるというのだろう。
Aは良い奴だ。
いつだって人の世話ばかり焼いている。真面目で、少しバカで、俺に悩みがあれば自分の事のように考えてくれて、辛い時は黙って側に居てくれる。ふざけた話をしてる時は本当に楽しそうに笑ってくれるんだ。
そんなAが可愛くて仕方ない。
愛しくて仕方がない。
なのに…。
Aはあの男を好きになった。
そして今、あの男のせいでAが泣いている。
ふざけんな。
Aはお前みたいなヤツが簡単に傷付けて良い人間じゃない。
悲しませて良い人間じゃない。
こんなことなら教室から男が出てきた時、一発殴っておけば良かった…。
空き教室の窓越しに見える彼女は、膝を抱え小さく震えていた。
あー、もう…。
本当に最悪。
最低な気分だ。
俺ならこんな思いさせないのに。
Aのことずっと幸せにするから
絶対傷付けないから
ふざけたこと言ってずっと笑顔にするからさ
「A…」
『っ！…ば、に？』
「今、通りかかったらAが蹲ってるの見えたから…」
『……』
「え、泣いてる？どうしたん？」
『………っうぅ』
「…あー、腹でも壊した？保健室行く？」
『ばにぃ…っ…』
『ばに…わた…ぁ…〜〜いまッうぅ…はあ…っ…はっ』
「過呼吸みたいなってるやん…ゆっくり息しな？」
『っう、ん……はっ、はぁっ…はー』
「…ホント、殴っときゃ良かった」
『？』
「こっちの話」
Aがこんな時なのに
チャンスが巡って来たなんて考えてる俺も最悪だ。
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作者名：之 | 作成日時：2023年5月6日 17時
