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数日後
喫茶ミシェルで閉店までぐだぐだした2人は、帰路についていた。
商店街を抜けた交差点。
そこがふたりの別れの場所だった。
マーコは右へ、タロウは左へ曲がる。
じゃぁまた、と言おうと向かい合ったその時。
マーコが大声を上げた。
「あ！！」
「！？なんだよ・・・っ」
「シンイチー！！」
タロウが曲がるはずだった左方向、少し先に先日会ったばかりのシンイチを見つけたらしい。
その声に驚いたのは、タロウだけではない。
どこか焦ったような顔で、シンイチが手を上げる。
「なにしてんのー！？」
「おいっ！こんなとこで大声出すなっ！」
と、マーコの頭を叩いたタロウもシンイチへと目線を向ける。
しかし、どこか様子がおかしい。
なぜか、こっちに来るなと言いたがな目で訴えてくる。
そんなことはお構いなしなマーコがずんずんとシンイチとの距離を詰めた。
「こんなとこでなにして「シンイチくん！」
マーコの声を遮ったのは、清楚な格好をした綺麗な女の人だった。
「あ、あー・・・」
4人が出揃ったところで、シンイチはより一層焦っているのか冷や汗をかいている。
「シンイチくん、この方たちは？」
「あ、こ、こちら！俺の先輩のタロウさんと、」
「マーコです！よろしく！」
「はじめまして。いつも、シンイチくんがお世話になっています。」
そんな彼女の言葉に、いえいえーと得意げなマーコを再び叩いたタロウはずらかろうとマーコの腕を掴んだ。
しかし、彼女の次の言葉に動きを止める。
「シンイチくん、練習お疲れ様。試合、もうすぐだったよね？」
これは深入りしてはいけない、と察して再びずらかろうとするタロウ。
そんなこと毛頭ないマーコは、え？練習？と本気で不思議そうに尋ねた。
「はい。シンイチくんは、ボクサーなんです。毎日遅くまで練習に励んでいて。1ヶ月後の試合に勝ったら、結婚しようって話してるんです。」
「へー！工事現場の仕事と掛け持ちなんて、やるなぁ！シンイチ！」
「工事現場？」
「あーあー！！そ、それはボランティアで！ジムの決まりで、週に何度かボランティアに行くことになってて！それが、工事現場なんだよ！」
「そうなんだ。大変だね、ボクサーって。」
いくら鈍感なマーコでも、この会話で状況を把握したのかなんとも言えない顔でシンイチを見つめていた。
会えてよかった、と言ってタクシーに乗った彼女を見送った3人の間に、気不味い空気が漂っていた。
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作者名：サリー | 作成日時：2020年10月14日 17時
