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忘れる ページ27




「嫌味な奴だな。金餓(おうが)。
今宵は月の世って事で俺まで借り出されてるだけだ」
「でしたら、何もなかったということにしてくれませんか?
まだ、手は出してませんよ」
「何もって、喰べようとしてたくせにぃ!!」
アルが俺にしがみつきながら、叫ぶ。
「そだな。何もない事にするか、面倒だし」
「な、アシュラ様?」
「だいたい、お前も悪い。人間をこんな所に連れて来るのは『いけない事』だろ」
「そうですけど……」
アルは俺を見上げる。
「記憶を消して還すか……どうせ、リアでも同じ事するさ」
男は俺に大鎌を向ける。
「ちょっと、待て……」
俺の言葉を無視して、大鎌が振り下ろされる。

「夢狭間の狩人アシュラの名において、かの者をその記憶と交換にあるべき地へと還す」

「A……」
アルの声が最後に小さく聞こえた気がした。


目が覚める



記憶のない朝→←月



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作者名:ミラク | 作成日時:2018年8月11日 3時

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