第350夜 ページ17
＿＿＿＿勝利の後、国は穏やかな海へと沈んでいきました
傲慢な国の命運はここで断ち切ろうと、青年が弔うように深い海のどこかへと大陸を隠してしまったのです
それから青年は生き残った僅かな人々の手を引き、新たな土地へと導きました
その新天地で、人々は今度こそ傲慢に陥らぬようにと彼に教えを乞いました
青年はその願いを受け入れ、そして新しい土地で王として善政を治めました
平和に暮らすための知恵も、彼だけが扱えた魔法という神秘も
惜しみなくヘルエレガルは人々に授けました
先の大戦で遺された幼い子には「国の宝だ」と言って温かい愛を注ぎました
愛と情に溢れた王でした
輝かしい叡智を併せ持つ大賢者でした
誰かのために神秘をふるう、優しい魔法使いでした
そんな彼のもと、新しい土地は争いのない、花と歌に愛された国へと育ちました
それから何年、何十年、何百年と時が過ぎ
人々のために闘った優しい神様は、幸せそうに笑う人々を見て安心したように頬を緩ませました
＿＿＿＿そろそろ眠るよ
大きく聳え立つ白ポプラの木の下で、神様はそう言いました
＿＿＿＿今の君たちなら私がいなくとも、きっと大丈夫
まるでお別れのような事を言い出す青年に、人々は何故だとは言いませんでした
分かっていたのです
青年は不老不死でした
けれど神々から受けた傷は、いくら彼と言えどもそう簡単に治せるものではありませんでした
青年は何年も何十年も何百年も、癒えることのない傷を抱えたまま王として人々を導いていたのです
大きな木の下で眠りにつこうとするヘルエレガル
その手にはあの白い大杖が握られています
＿＿＿眠りにつくけれど、人は過ちを繰り返すものだから
杖を抱えたまま微睡みながら青年は言葉を紡ぎます
＿＿＿その時はまた、止めてあげる
だからその時までさようなら。約束の日までおやすみ
＿＿＿待っているよ、ずっと
遠い誰かを想う目で彼は瞳を閉じます
いつか
青年は深い深い眠りへと落ちていきました
ヘルエレガルが眠りにつくと、遺された杖に彼の瞳のような蒼い宝石が現れました
まるで宝石を通して人々を見守っているかのようです
杖は青年の偉業を象徴する王冠として大切に扱われました
それから青年なき後、人々は王様の眠りを妨げぬよう争いのない世界の為に手を取りあいましたとさ
めでたしめでたし
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
