第348夜 ページ15
＿＿＿＿他国と争う必要がないほど豊かであったのに、傲慢にも人々はさらなる富を求めて血を流しました
そんな人々の堕ちた姿を、ただただ青年はその透き通った瞳で見つめるばかりでした
一方その頃、神殿では
なんの言葉もなく青年が神殿を後にしたことを知った神が、神器を振りかざして怒り狂っていました
あれほど寵愛したのに！
あれほど私を慕っていたくせに！
私を置いていった！私を捨てていった！！
怒りに震える神は知りません。青年がただ思い立って国の様子を見に行ったことなど
嫉妬と羞恥と憎悪で震える神には、青年が自分を捨てて国へ帰ったとしか思えなかったのです
だからその報復に。そして今度こそ青年を手に入れるために
大地を揺らし、波を起こし、星を落として、国諸共青年を滅ぼすことを神は決めたのです
『(ほんと泥沼…。やっぱり神様なんてものに関わるとろくなことはないね)』
嫉妬うんぬんで国一つを滅ぼすとか、情緒が規格外というかなんというか……
再度頭を振って僕は物語へと戻る
＿＿＿＿災害は直ぐにやってきました
立つことも出来ない程大地は揺れ、穏やかだった海は人々に牙を剥いたかのように荒れました
そして見上げた空からは、岩のような火の玉が振り注ごうとしていたのです
未曾有の大災害を前に、人々は青年に助けを求めました
滅亡の危機に瀕してようやく人々は己の過ちに気付いたかのように、しおらしく青年に縋りました
青年は人々の顔を見渡します
お前のせいじゃないのか
お前がこの災害の種ではないのか
人々の薄汚れた濁りきった瞳が青年を見つめ返します。隠したつもりでしょうが、青年の目は誤魔化せません
＿＿＿＿……いいでしょう
暫らくの沈黙の後、青年はただひとことそう答えました
疎まれ、気味悪がられ、使うだけ使われて国を追い出された
今も人は欲に塗れた目で青年に詰め寄っています
……それでも
それでも青年はかつて自分を捨てた民のことを守ろうと、そう決めたのです
『(やっさしいねぇ……ご先祖様は何を思って自分を捨てた奴らを救おうと考えたのか)』
おとぎ話に問うたところで、答えは"脚色"の二文字だろうけど
僕たちの先祖は随分とお人好しな人だったらしい
＿＿＿人々を守ると決めた青年は、それから徐ろに懐からあるものを取り出しました
その手に握られたのは白く輝くポプラの枝葉
国に来た日に携えていた、あの冥土の土産でした
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ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
