第345夜 ページ12
ジニーと昔話をしたせいだろうか
なんだかノスタルジーに浸りたくなって、気付けば僕は人気の少ない図書室へと足を運んでいた
「へ、ヘルエレガルだ…ｯ！」
「あっち行こ…！」
見知らぬ生徒が恐れをなしてそそくさと逃げていく
今日はそこまで調子は悪くないのだが、サァッと人が離れていく様は爽快だったため無言を貫いた
『(えーと、確かこの辺りに…)』
神話や伝説がまとめられた一画で足を止め、本の背表紙に人差し指を滑らせる
『Hel……Hel……んー……
……あ。あった』
目と指を滑らせ目的の本を見つけ出す
手に取った本の表紙にはデカデカと〔Legend Of Heleregal〕と題名が居座っていた
少し古びた、けれど重厚で重いそれを小脇に抱えて僕は誰もいない席へと腰を下ろす
『ふーん…物語だけじゃなくて考察まで書いてあるんだ』
通りで分厚いと思った
ヘルエレガル伝説を語るだけならここまでのページ数は必要ない
パラパラと捲っていた手を止め、物語の最初が描かれているページへと視線を戻した
『(＿＿＿＿遠い遠い遥か昔。人が神と共に生きていた時代の事です)』
ヘルエレガル伝説の最初はどの文献も同じ文言で始まる
神と人が共存していた時代＿＿＿＿一般的に神代と呼ばれるその時代が本当に存在していたかどうかは魔法使いの中でも意見が割れている
神がいるかどうか、長年論争の的となったそのテーマについて僕はどちらの意見でもない
いるかもしれないし、いないかもしれない
ただもし存在するとしても、神なんて信用に値しないし関わるなんて以てのほかだ
神に関わった人間の末路がろくなものではない事は数々の神話や逸話が証明している
もちろん、ヘルエレガル伝説も
視線を本へと戻す
＿＿＿＿食べ物も飲み物も、資源も豊かな広大な国がありました
その国の王家は神の末裔と言われています
人々は国が豊かであるのは神の愛によるものだと理解し、そして神を信仰していました
何もかもが満たされた理想郷
そこにある日一人の青年が海から現れました
＿＿＿＿それが伝説の始まり
目も眩む程の眩い光が海から発せられたのを見て人々が駆けつけます
すると美しい青年が荒波から姿を現しているところでした
岸に辿り着くと、青年は自分を恐る恐る窺う人々に向けてこう言いました
「私は死者の国、冥府を駆け抜けし者
名を＿＿＿ヘルエレガル」
手に、白く輝くポプラの枝葉を携えて
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ぽか - 面白すぎてすぐ読んでしまいました！すごく面白いですし、主人公の病みが出てきてワクワクしてます！完結して欲しい・・・！更新無理せず頑張ってください！ (4月19日 17時) (
レス) @page34 id: 8fb0247eee (このIDを非表示/違反報告)
まど - 読んでて物凄くわくわくしました！言葉や展開の言い回しが素敵で、実際にある国などついつい調べて何時間も費やしてしまいました幸せです。是非完結していただきたい…！無理せず更新頑張ってください！ (1月9日 21時) (レス) @page34 id: 6fc7e82b20 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 凄く面白くて一日で見ました！！今から2週目見てきます！！！！更新頑張ってください！！！！ (12月24日 13時) (レス) @page34 id: 49fa55860c (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - はぁぁ！最高です♡♡また更新してください♡待ってます！！！お体にお気をつけて！ (9月12日 21時) (レス) @page34 id: eb702a756c (このIDを非表示/違反報告)
おパブロで。 - お、面白すぎてイッキ見しちゃった……(ﾟωﾟ)お身体に気を付けて毎秒更新して下さいね！！！！ (9月12日 0時) (レス) @page34 id: e2ea27c298 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年12月17日 17時
