秘密(2) ページ34
「君、最近ここに来すぎじゃないのか？」
ふよふよ浮かんでいる俺はローブを足掛けにして本を読んでいる彼の傍に近づく。
彼はこちらを横目に見たりはするが完全に構ってくれる訳では無い。余程集中しているのだろう。
確かに図書室では本を読む事が第一の目的として思い浮かぶ。
が、話しかけられているんだからもう少しぐらい返事をしてくれてもいいと思うな。
「…」
「…大体どうした？君はそんなにここに入り浸る奴ではなかっただろう？」
そう言うと君は手を止め、こちらを見据える。
その目は…いや。目よりその下の隈が酷い。
ここ数日寝てないのだろうか、そんな感じだ。
「…ライズ、人狼とか狼男とかって一生治らないものなのか」
ふと彼が聞いてきた言葉に思わず顔を歪める。
記憶のない俺は他のみんなの読んでる本を上から勝手に読んでいて、分からない事だけはダンブルドアに聞いたりしている。
きっと彼は自分よりずっと物知りだと思って俺に質問してくれたのだろう。
だが、生憎とそれの類を調べるのは…あの子以外、君が初めてなんだ。
俺は肩を竦め、知らないと首を横に振った。
「…そっか。悪いな、こんな変な質問して」
彼は明らかに落胆の表情を見せたあと、それを隠すかのように俺に笑いかけた。
…君は本当に無理に笑うな。
いま、彼を慰めてやろうと伸ばした手もその身体をすり抜けるだけ。
今は、今だけはこの霊体が憎い。
身体があれば君を慰める手が君の頭を撫でることも、無理に笑ってる顔を引っ張ってやることだってできるのに。
「…そんなに知りたがるなんてよっぽど大切な奴を助けてやりたいのか？」
「…多分、リリーやセブ、それに君以外に初めてなんだ。俺に優しく接してくれる友達なんて」
「…なるほど、そいつが」
「…そうだ。本人にとっては他の仲いいヤツらにだって話せない秘密だってのに、俺は偶然でそいつらより先に知ってしまった」
「君が上級生に運ばれて叫びの屋敷に放置された時かな…」
そういえばその少し後にダンブルドアの付き添いでグリフィンドールの男子生徒がその屋敷に入っていってたな。
あの時の学生がAの友達だったのか。
「…悔しいんだ、俺。あいつには何かと助けられてるのに、何も出来なくて」
「…何も出来ないわけじゃないよ」
Aの肩が大きく跳ねた気がした。
俺達に声をかけたのは少し困った様にこちらを見てるリーマスだった。
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八神(プロフ) - ああさん» ……ああ！？本当ですね……修復が難しい流れなのでキャプション記載させていただきます。ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月9日 22時) (
レス) id: 5d49f427fa (このIDを非表示/違反報告)
ああ - あの、組分けの時って苗字順に呼ばれるじゃなかったですっけ？ (2019年11月4日 11時) (レス) id: a72da57039 (このIDを非表示/違反報告)
LN - 楽しみにしてる、いい作品だね！こういうのハリポタだと珍しいから頑張って！ (2019年5月27日 0時) (レス) id: 33cdc0490e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八神 | 作成日時：2018年12月21日 21時
