図書室(3) ページ22
でも、セブルスが目的の本棚に着いた後に手を離したのは言うまでもないかな？
ひんやりとした彼の冷たい手は顔から何から赤くなって熱かった俺を冷やしてくれていたのだ。
だから、離れた時は少しだけ寂しさというか…名残惜しかったというか…
思想を巡らせて上の本棚の本を吟味してるセブルスを見つめるために上を向いてる。
セブルスの細い指が本の背表紙に伸びる。
その横の本が一冊、落ちていく、セブルスを見ていた俺の頭に向かって。
俺は咄嗟で杖が出せなかった。
目を瞑って向かってくる痛みに耐える…
…あれ？
痛みが来ない？
恐る恐る目を開けると、本が頭の上でふわふわと浮いている。
まるで魔法にかけられたかのように。いや、そうなんだろうけどね？
「…何してるんだい、A？」
呆れた声が聞こえたので後ろに振り向くと、ルシウスが杖を持ってこちらを見ている。
頭の上の本はルシウスのかけた魔法で浮いているようで、ゆっくりと俺の手に降ろされる。
「あ、りがと。助かったよ、ルシウス」
「…目の前で知ってる子が怪我しそうになってたから助けただけだよ」
髪に何か暖かなものが触れる。
それは俺の頭を撫でる為に伸ばされたルシウスの手だった。
俺なんか撫でて楽しいのか、とも思うが優しい表情を見せる彼を跳ねのける事は出来なかった。
「そうだ、杖はすぐ出るところにしまっとくといいよ。胸元じゃなくてね」
胸元も充分すぐ出る場所では…？
と言いたかった俺が口を開くより先にルシウスは他の生徒に呼ばれた。
「…すまない、呼ばれているようだ」
「あー…いいよ、ルシウスはたまたま通りがかってたまたま怪我しそうな俺を助けてくれただけだろう？今度お礼だけ渡したい」
「…では、今度私宛にフクロウを飛ばしてくれ、何としても空けよう」
いや手渡しはダメなのか、同じ校舎内だぞ。
とも思ったが忙しいルシウスにはその話し合う時間も惜しいらしい。
素直に彼のフクロウに所定の日時を書き込んだ手紙を渡すことにしよう。
「じゃあ、楽しみにしているよ、A」
…ルシウスに貸しを作ってしまった事に既に後悔しかないんだけど。
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八神(プロフ) - ああさん» ……ああ！？本当ですね……修復が難しい流れなのでキャプション記載させていただきます。ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月9日 22時) (
レス) id: 5d49f427fa (このIDを非表示/違反報告)
ああ - あの、組分けの時って苗字順に呼ばれるじゃなかったですっけ？ (2019年11月4日 11時) (レス) id: a72da57039 (このIDを非表示/違反報告)
LN - 楽しみにしてる、いい作品だね！こういうのハリポタだと珍しいから頑張って！ (2019年5月27日 0時) (レス) id: 33cdc0490e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八神 | 作成日時：2018年12月21日 21時
