飛行術(3) ページ27
だれか、誰か頼む。
この暴走箒を、止めてくれ。
段々と上がっていくこのスピードと高度は俺の耳に風を切る音しか伝えてこないわけで、恐怖しか溢れてこない。
ラスマみたいに意思があるわけじゃないから会話できないし凄く怖い。
授業中のみんなからもだいぶ離れてしまった。
俺このまま、どこ行くのかな。
「〜！」
あれ、誰かの声？
このスピードに着いてくるなんて凄く速いな。
少しだけなら、追ってきている誰かの顔を見ることが出来るかもしれない。
視界を広げるため、少し体を箒から浮かして、後ろを見やると。
「A！」
ジェームズだった。
俺の箒はかなり速い。
でも、ジェームズの箒はもっと速い。
凄いな、ジェームズ。お前ならクディッチの選手なれるんじゃないか。
なんて呑気に考えてると、上体が風に煽られる。
体を浮かしてたせいで箒を掴む力が緩まっていた所に、高所特有の強風が吹いたんだろう。
まずいと思う前に、俺は箒から落ちた。
魔法の力を使う相手がいなくなった箒も一緒に落ちていく。
「A、手を！」
ジェームズはそれを予測していたのか俺が落ちる横から手を伸ばす。
風に抵抗されて揺れる俺の手をどうやっても掴もうとする彼の手がたくましく見える。
伸ばしてはいる、でも後一歩届かない。
ジェームズは軽く舌打ちして、落下している俺を追い越す。と同時に急停止して、俺の腹が箒にぶつかる。
「ぅぐ！」
「…痛い？」
「…あの怖さ、よりマシ」
ジェームズが俺の背中を撫でる。
やめろ、といつもなら止めていたと思う。
でも今は知ってる手が傍にあるのがどうしても安心できて、止める声が出ることは無い。
でも流石に箒にへの字の体制はいただけないので姿勢はジェームズの後ろに座る形になる。
今度は落ちたくないので必死にジェームズに捕まってると、荷物みたいと笑われる。
折角かっこよく(？)助けてくれたからさっき笑った分はなしにしてやろうと思ったが今のでチャラになった。
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八神(プロフ) - ああさん» ……ああ！？本当ですね……修復が難しい流れなのでキャプション記載させていただきます。ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月9日 22時) (
レス) id: 5d49f427fa (このIDを非表示/違反報告)
ああ - あの、組分けの時って苗字順に呼ばれるじゃなかったですっけ？ (2019年11月4日 11時) (レス) id: a72da57039 (このIDを非表示/違反報告)
LN - 楽しみにしてる、いい作品だね！こういうのハリポタだと珍しいから頑張って！ (2019年5月27日 0時) (レス) id: 33cdc0490e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：八神 | 作成日時：2018年12月21日 21時
