【明治東京恋伽】満月の夜森邸組 (ページ2)

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ということで銀座に来た。
相変わらず人で溢れかえってるなあ、とんでもない活気だ。

私はフミさんに言われた調味料をすんなりと入手し、帰ろう…と思ったが、何やら前の方が少し騒がしい。
というより、誰かが一人で騒いでる感じだ。
しかも私はあの人に見覚えがある。

「あの、八雲さん…？ですよね…？」
「ああっ娘サン！」

八雲さんが私に気付き、手を振ってくれる。

「八雲さんが銀座って珍しいですね、何してるんですか？」
「通りかかった人に聞き取り調査をしていたところです。というのも」

嬉しそうに話す。
まあ物の怪のことだろうと思った。

「実はですね、最近この辺りで盗難、すりが多発しているそうなんです」
「すり、ですか…物の怪かと思いました」
「いいえ娘サン、どうやら物の怪の仕業かもしれないのです！
ぶつかったと思えば人間とは思えない速さで走り出し、追いかけようが無かったと聞きました。
It's so amazing!!物の怪の香りがプンプンします！」
「な、なるほど…」

そんな物の怪もいるんだ…
私は魂依だが、まだ物の怪の種類とかは正直よくわからない。一回小泉さんに講義してもらうべきだろうか…と一瞬考えたが、小泉さんが興奮してしまって大変なことになる予感がするのでやめておく。

「では私は帰りますね、引き続き聞き取り調査頑張ってください！」
「ありがとうございます、娘サンも気を付けて！」

手をひらひら振って八雲さんと別れる。

さて、もうお昼過ぎだ。私の空腹度も限界に近い。
家に帰ろう。