８７悪魔と天使は紙一重 ページ38
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強く握られている手首からスーッと圧が消えていく。
ジニョンが私の手首をそっと優しく離し、私から距離をとる。
そんなジニョンに少し、違和を感じる。
「マークヒョンの、どこに惹かれたの？」
私の目をしっかりと見ながら、眉にしわを寄せてそう言う。
マークさんの好きなところ？
…直接会ってきちんと話したのは今日が初めてなわけで、コレと思い浮かぶところが無い。
マークさんを見れば顔が赤くなり、涙目になってしまって、心臓が早くなる。
この症状は自分の恋の証として認知しているけど…。
よく考えれば、私はマークさんの事を知らな過ぎる。
誕生日も、彼女がいるのかの有無でさえ、性格だってきっと、素の彼の性格を私は知らない。
「…紳士的なところとか？」
「それだけ？」
「でも、でもね、一目惚れだよ。」
言うと、ジニョンがはぁ、とため息をつき、私をあしらうように鼻で笑う。
その表情を見て、ジニョンが“私をからかういつもの様子”に戻ったと実感できた。
「それじゃあ、マークヒョンを好きと断言するには、早いよ。早い。そんなの恋じゃ無いからやめた方がいい。」
「…え、嫉妬？」
からかうようにそう言う。
いつものジニョンなら私の言う事に倍上乗せするように煽ってくる。
そう思ってたのに、ジニョンは私の言葉を聞くと、クルッと回り、私に背を向けた。
「嫉妬しちゃ悪い？そのぐらい好きなの。」
顔の表情は確認できないけど、耳が赤くなってるの分かった。
不覚にも可愛い、と思ってしまい、いつもの仕返しのつもりで苛めたくなる。
「え〜、ジニョン照れてるの？」
「っうるさいな！もう帰る。」
少し形の乱れたトレンチコートを自身で整え、はたきながらドカドカと廊下を歩き、玄関へ向かっていく。
私はただその様子を見つめていた。
私の家を出て行くとき、ドアノブに手をかけるジニョンが振り向きざま、最後にこう言った。
「…腕時計、次会う時はつけて欲しいな。じゃあね、A。」
悪魔のように性格がひん曲がっている、と印象を持っていたジニョンの笑顔。
でもそれは、今この瞬間だけ目尻にしわを寄せて、天使みたいに笑っていた。
ジニョンが出て行った後の、ドアの閉まる音が響く。
「な、なに今の笑顔…。」
無意識に、時計のされていない手首を触る。
さっき痛いぐらいにジニョンに握られていた手首が、自然と熱を帯びていた。
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ゆめ子(プロフ) - yaiさん» コメント有難うございます。私は文章内で言葉で感情を伝える事よりも、心情表現を使用したい性でして、読者様にとってはくどく、長々としている文に見えているのでは無いか、と不安に思っておりました…。ですので、大好きと言っていただけて、本当嬉しいです。 (2015年2月7日 14時) (
レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ子(プロフ) - りったんさん» コメント有難うございます。ジェボム切ないですね。この作品のジェボムは優しい人であるように心掛けています。リーダーであり、責任感を全て自身の負い目に感じていることが皆さんに伝わっていればいいなぁ、と思います。 (2015年2月7日 14時) (レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
yai - 感情描写が素敵で、大好きな作品です。これからも更新楽しみにしています。 (2015年2月6日 15時) (レス) id: 7e3322ca5c (このIDを非表示/違反報告)
りったん(プロフ) - ジェボムが切ない〜(Ｔ＿Ｔ) (2015年2月5日 23時) (レス) id: 20b6fb73e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ子(プロフ) - BA SIさん» レスが遅くなってしまい、申し訳ありません。コメント、大変励みになります！BASI様はユギョムペン様でしょうか？話しが昼ドラ並みに暗いですね…。でもそれがお気に召して頂けている様で私としても嬉しい限りです。これからも当作品を宜しくお願い致します^ ^ (2015年1月23日 19時) (レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆめ子 | 作成日時：2014年12月6日 15時
