76ファニートーク ページ27
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目が回るくらい忙しかったバイトを終え、milkyを出る。
「……あ。」
店を出ると、不自然にもあの人がいた。
マスクにサングラス、ベレー帽を少し傾けて被っている。
それと、トレンチコートを着こなしていて、身長も他の人より少し高いせいか、オーラを隠そうにも隠しきれていない。
私が店から出たのに気がつき、こちらへ手を振りながら向かってくる。
「あ、A。たまたまだね、バイトお疲れ様。」
“たまたま”だなんて、嘘だ。
手と耳が寒さのせいで赤くなってる。
「ジニョンも、お疲れ様。」
“GOT7のジニョン”であるとバレまいと思ったのだろうか。
マスクやサングラス等を身につけ過ぎていて、逆に目立っている。
「本当、偶然。今からmilky行こうとしてたの。これって運命?」
運命という言葉に上手く答えることができなくて、愛想笑いを向けるだけ。
正直、ジニョンにはあまりいい印象がない。
人を困らせるのが好きなように見える。
マークさんのことを“王子様”と電話帳登録してるのがバレてるし、下手にこのことをいじってほしくもないし。
「あの日、連絡くれてもよかったじゃん。俺、ずっと待ってたんだよ。」
「それは、ごめん。」
「じゃあさ、その代わりに今からAの時間、少し俺に頂戴?」
本当、この人は一枚上手だ。
そんな風に交換条件を出されたら断る言い訳を探すのに一苦労。
「こ、これから、少し忙しいから。」
「…そっか。まぁこうやって少し会えただけでもよかった。」
マークさんに会うまではまだ時間はある。
絶対にジニョンは、このどもり方は嘘だってわかってるくせに、こういう風にキュンとさせてくるから、調子が狂う。
一体、何を考えているの?
「じゃあ、またね。」
「……じ、ジニョン。」
私に背を向け、手をヒラヒラと振り、歩き出す。
その手は少し痛々しくて、思わず止めてしまった。
ジニョンの少しびっくりした顔。
「今度から、来るときはお店入って待ってて。」
そういうとジニョンは手を見て、赤くなっているのを確認する。
その手をポケットに突っ込み、私に照れ臭そうに笑いながら言う。
「ずっと待ってたの、ばれてたかぁ。恥ずかしいな。そういう風に気の利く女性、好きだよ。」
バイバイ、と言ってまた私に背中を向ける。
“好きだよ”
ジニョンの言葉が私の頭の中でもう一度再生された。
私ったら、なんであんな奴にドキドキしてるの。
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ゆめ子(プロフ) - yaiさん» コメント有難うございます。私は文章内で言葉で感情を伝える事よりも、心情表現を使用したい性でして、読者様にとってはくどく、長々としている文に見えているのでは無いか、と不安に思っておりました…。ですので、大好きと言っていただけて、本当嬉しいです。 (2015年2月7日 14時) (レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ子(プロフ) - りったんさん» コメント有難うございます。ジェボム切ないですね。この作品のジェボムは優しい人であるように心掛けています。リーダーであり、責任感を全て自身の負い目に感じていることが皆さんに伝わっていればいいなぁ、と思います。 (2015年2月7日 14時) (レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
yai - 感情描写が素敵で、大好きな作品です。これからも更新楽しみにしています。 (2015年2月6日 15時) (レス) id: 7e3322ca5c (このIDを非表示/違反報告)
りったん(プロフ) - ジェボムが切ない〜(T_T) (2015年2月5日 23時) (レス) id: 20b6fb73e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ子(プロフ) - BA SIさん» レスが遅くなってしまい、申し訳ありません。コメント、大変励みになります!BASI様はユギョムペン様でしょうか?話しが昼ドラ並みに暗いですね…。でもそれがお気に召して頂けている様で私としても嬉しい限りです。これからも当作品を宜しくお願い致します^ ^ (2015年1月23日 19時) (レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆめ子 | 作成日時:2014年12月6日 15時