６０それは苦くて甘い ページ11
JB side _
ベンベンを閉めだした後、Aさんは鍵をかけなかった。
多分それは、ベンベンに対する“本当は嫌われたくない”というAさんの最後の意思表示だったんだと思う。
静まりかえる廊下。
「ごめん、こんなことになって…。どうして、俺のことかばおうとしたの？」
自分から誘った、だなんて。
そんな嘘、身を呈してまでついてほしくなかった。
どうせなら、俺をもっと悪人にしてくれてよかったのに。
「私なんかのせいで、メンバーの間に亀裂入って欲しくないんです。」
嫌われたら、Aさんをキッパリ諦められる。
それなのに、どうして、そんなこと、
「……ねぇ、俺、Aさんのこと好きでいていいのかな。今更諦めろなんて言われても、無理だよ、俺。」
Aさんが乱れた服を直しながら、俺の横を過ぎ、リビングに向かう。
「前に、ジャクソンに好きって言われた時、なかったことにしようって言って後悔したんです。結局、保身や偽善なんだろうけど、同じことは繰り返したくないから…。」
Aさんが振り返り、俺の目を見据える。
「こんな私でも好きでいてくれますか？」
どうして、そんな期待するような言い方なの。
かすかにまだ肩と瞳が、震えている。
俺を試しているんだ。
どうやったら俺はAさんの一番になれる？
答えがわからなくて、Aさんを抱きしめた。
好きでいる、なんて口に出しては言えないけど、どうかこれで、わかって。
「……ごめんなさい。マークさんはアイドルで、私は一般人で釣り合うはずないのに、好きなんです。」
振られた、悲しい。なんてもう慣れてる。
“マークさんのことが好き”なんてもう何回聞いたと思っているの。
「マークさんこと好きって思っても、ジャクソンやベンベンのこと、それにジェボムさんのことで、頭がこんがらがる。もう、どうすればいいのかわからないんです…。」
今にも泣きそうな声で、Aさんはそう言う。
「誰かを好きっていうことがこんなに苦しいだなんて、知りませんでした。」
そういってAさんは俺の背中に手を回して、抱きしめ返してくれた。
深い意味はわからないけど、Aさんはきっと、その複雑になってしまった気持ちをどこかに吐き出したかったんだと思う。
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ゆめ子(プロフ) - yaiさん» コメント有難うございます。私は文章内で言葉で感情を伝える事よりも、心情表現を使用したい性でして、読者様にとってはくどく、長々としている文に見えているのでは無いか、と不安に思っておりました…。ですので、大好きと言っていただけて、本当嬉しいです。 (2015年2月7日 14時) (
レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ子(プロフ) - りったんさん» コメント有難うございます。ジェボム切ないですね。この作品のジェボムは優しい人であるように心掛けています。リーダーであり、責任感を全て自身の負い目に感じていることが皆さんに伝わっていればいいなぁ、と思います。 (2015年2月7日 14時) (レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
yai - 感情描写が素敵で、大好きな作品です。これからも更新楽しみにしています。 (2015年2月6日 15時) (レス) id: 7e3322ca5c (このIDを非表示/違反報告)
りったん(プロフ) - ジェボムが切ない〜(Ｔ＿Ｔ) (2015年2月5日 23時) (レス) id: 20b6fb73e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ子(プロフ) - BA SIさん» レスが遅くなってしまい、申し訳ありません。コメント、大変励みになります！BASI様はユギョムペン様でしょうか？話しが昼ドラ並みに暗いですね…。でもそれがお気に召して頂けている様で私としても嬉しい限りです。これからも当作品を宜しくお願い致します^ ^ (2015年1月23日 19時) (レス) id: 1ed29f7c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆめ子 | 作成日時：2014年12月6日 15時
