マイガール (ページ3)

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秘め事───From Ki ページ3

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A会いたい

うっかり送ってしまってから酷く後悔した。

こんなはずじゃなかったのに。

こんな関係じゃなかったのに。

気付いたらどっぷりハマってた、宏光に。

きっかけはなんだったっけ。
彼氏の友達で、
彼氏と3人で一緒に食事した帰り道、

「ミツの家って◯◯方面だったよな？」

「そうだけど、」

「わりぃ、コイツもそっち方面だから
一緒に乗っけてってくんない？」

「えっ、そんなの北山さんに悪いから
大丈夫だよ！」

「俺は別にいいけど……お前は？」

「俺？このあとまだ仕事あんだよ」

「働くねぇ～」

「お前ほどじゃねぇよ」

“あっあっあっ”と癖のある笑い声を上げながら

彼氏と笑い合ってる宏光を見て、

ほんとこの2人仲良いなって思ったのを覚えてる。

だからその後、あんなことになるなんて

微塵も思わなかった。

「じゃ、行きますか？Aちゃん」

たまたま帰る方向が一緒で、

たまたま相乗りしたタクシーの中。

お互い特に会話するでもなく、

流れる景色をただボーッと見ていたら

いきなり隣り合った手を

上から覆うように握られて、

驚いたわたしは宏光の顔を見つめる。

「…北山さっ、手…」

「もう帰っちゃう？」

「え…？」

困惑しているわたしをよそに、

距離を縮めた宏光は

「A、」

さっきまで“ちゃん”付けだった名前を

急に呼び捨てで言われて息が詰まる

「……なぁ、俺んち来いよ」

耳元で響いた低く少しくぐもった声が

妙に色っぽくて、

全身に電流が流れたかのように

ビリビリと痺れたような感覚に襲われて

気付いたら次の瞬間には頷いてた。

宏光今、彼女といる

画面に浮かび上がる文字をなぞる指先が

一瞬にして冷たくなるのを感じた。

先程よりさらに後悔の念が押し寄せてきて

返信できないでいると、さらにもう一通。

宏光遅くなるけど、それでもいい?

送られてきたメッセージに

わたしは酷く晏如した。

fin.

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