叱られたい願望───From Ki ページ20
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「ちょっとみっくん！」
「…あ？」
「“あ？”じゃなくて！
お肉ばっか食べてないでちゃんと野菜も食べて」
「食ってるよ」
と言いつつ、肉を口に放り込む。
「ほら、言ってるそばからまたお肉ばっか」
「いいの〜。ペースっつーもんがあんだよ」
俺の言葉に目の前でぷりぷりしてるA。
別に野菜食べるのに
ペースもくそもねーんだけど、
こうやると必ずAが
ちゃんと野菜も食べてって叱ってくれるから。
なんつーの？
所謂、叱られたい願望ってやつ？
大人になるとなかなか
叱られることもなくなんじゃん？
だからなのか、たまに叱られたくなる。
誰でも良いわけじゃなくて、
やっぱりかけがえのない存在である人。
俺の場合は目の前にいるコイツ。
「あんまぷりぷりしてると、
可愛いお顔が台無しですよ〜」
茶化すように箸を持ったままの
右手の人差し指で
Aのほっぺをツンツンする。
ジトーっとした目線で見つめられるけど、
全然怖くないし、
何なら可愛すぎてニヤけちまう。
「なにニヤニヤしてんのよ〜」
「ん〜？Aは可愛いな〜って」
「…………そんなんじゃ騙されませんからね〜」
いや、今ちょっと間あっただろ！
絶対騙されかけただろ(笑)
「あ〜あ……みっくんがそんなんじゃ
将来が心配…ほんとに…」
「は？なに急に…」
「だって、子供が生まれても
パパがそんなんじゃ示しがつかないでしょ」
思い切り溜息ついてるし。
……でも正直嬉しい。
俺との将来をこうやって考えてくれてるとことか。
まだ全然先になっちまうけど、
俺だっていつかはコイツとって思ってるから、
Aの口から具体的な言葉が出てくるのは
なんつーか、グッとくるもんがある。
「そん時は、ちゃんと野菜も食うよ」
「ほんとかなぁ」
疑いの目を向けてくるA。
「ほんとほんと！
……なんなら今から作っちゃう？」
「え？」
「子供」
「んなっ……、ほんっっっとやめて！
そういうの！！！！！」
「あっあっあっ」
「笑い事じゃないでしょ〜！？」
「あっあっあっ」
こんなやり取りもすげー幸せ。
願わくば、このままずっと隣には
Aにいて欲しい。
そして変わらずにこんな俺を叱ってて欲しい。
Fin.
.
終わり
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作者名：みこ | 作成日時：2019年4月3日 23時
