マイガール (ページ18)

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少し距離を詰めるように

ソファーの背もたれに肘をついて

体の向きを君に向ける。

視線はテレビに送ったままだけど、

時折、Aの横顔を盗み見て。

そのうち、体が

少しずつこちら側に凭れてきて。

俺の肩と胸の間あたりに頭を預けてきた。

これまでになく近付いた

Aから香る香水が

鼻腔を擽(くすぐ)ると同時に、

凭れかかられている方の手で

君の髪を優しく撫でる。

ふいに君が頭を浮かせるから

表情を伺おうと見つめると、

視線が絡んだ。

薄っすら色を帯びた瞳で見つめられて

年甲斐もなく心臓が高鳴るほど、

胸が苦しくなる。

「んな目で見んなよ」

思わず口から溢れたのは

驚くほど余裕のない声色で。

俺の言葉に見つめ合った視線を

一瞬逸らす君。

そしてまた、合わす。

ほんの一瞬の出来事のはずなのに、

それはスローモーションの様に見えて、

この一瞬が永遠みたいに感じる。

「そんな目で見ないでよ」

今度はさっきみたいな

余裕のない声色で零れ落ちたそれではなく、

はっきりと。

意思を持って。

「わたし…、どんな目してる…？」

「……キスしたいって目」

近付く距離。

テレビ画面からの光で壁に映し出された2つの影が重なり合う。

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