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龍｢A、着いたよ。
手当しないといけないから起きて。｣
龍也の家の前で背中から降りて
肩を支えられながら部屋に入った。
龍｢しみる？｣
『平気。』
龍｢強いじゃん。｣
『ちょ、子供扱いしないでよ』
突然頭を撫でられてビックリして
つい手を避けてしまったけど
さっき怜央に撫でられた時とは明らかに違う感情。
好きな人って、こういうことかと思い知る。
そうしたら思い出されるさっきの言葉。
____誰の女に手出したかわかってんの？
あの場で私を助けるために咄嗟に出た言葉だとしても
それでも私の頭の中をこだまして仕方なかった。
胸が苦しくなる。
龍｢痛い？｣
『痛く、ないよ…』
龍｢泣きそうな顔してる｣
誰のせいだと思ってんのよ。
龍｢腹とか背中は？見してみ…うっわ｣
Tシャツを捲り上げられた腹部は
人のものとは思えないくらいの紫色だった。
龍｢よく意識飛ばなかったな｣
『死ぬと思った所で顕嵐たちが来たから』
龍｢いい仲間じゃん。
はい背中、見して。｣
『あ……』
もうあの話聞かれちゃったし
断片的にではあるけど
見せてもいいかなって思うけど
やっぱり躊躇う。
龍｢あ、そっか服。
でも傷やばそうだし病院にする？｣
『いや、
……えぐい傷とか見て気持ち悪くなったりしない？』
龍｢俺は、平気だけど｣
私の思い上がりでもいい。
嘘でも、何でも、
守りたいって言ってくれた龍也だから
私のこと知ってほしいって思った。
龍也は最後まで、黙って聞いてた。
『……引いた？』
龍｢いや、…ごめん抱きしめていい？｣
私の返事を待たずして感じた温もり。
今まであまり感じたことなかったけど、
微かに香水の匂いがした。
上品で爽やかな匂い。
龍｢俺バカだから何て言ったらいいかわかんないけど
Aのそばにいさせて。｣
私の目から零れた涙に、たぶん龍也は気づいてない。
泣くのなんて、
お母さんが死んだ時以来だった。
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作者名：きらり | 作成日時：2017年12月29日 19時
