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小学5年生の秋、私は家を焼いた。
大好きだったお母さんを3年生の時に亡くして、
それでもやっと悲しみを乗り越えた頃、
父が再婚。
父はそれなりに大きな会社の社長で、
相手はそこの受付の女性社員だった。
再婚するとすぐに知った、もうすぐお姉ちゃんになること
子供ながらに感じた疎外感。
新しい母親とはほとんど口も効かないまま弟が生まれた。
父はほとんど家に帰らなかったし
母は露骨に私を無視した。
私も露骨に母を無視した。
｢Aちゃんは、前のお母さんが大好きなんだね。
でも私、Aちゃんのお母さんが生きてる頃から社長とはそういう関係だったのよ。｣
聞きたくない話。
聞きたくないのに、その人の口は止まらない。
｢私は本当に社長を愛していたから
今こうして夫婦になれてとっても嬉しいの。
だからAちゃんも、ちゃんと私の娘になってよ｣
遠回しに、
というかストレートに
大好きなお母さんを侮辱されたような気がして
悔しくて悔しくて
殺してやりたいと思った。
当時の私に、家に火をつけるなんて
そんな大胆なことがなぜ出来たのか分からない。
新しい母も、
産まれたばかりの弟も死んだ。
私が殺した。
私も一緒に燃えちゃえばいいと思ってたのに
病院で目が覚めて。
そこからはトントンと事が進んだ。
たぶん父の力でどうにか私は罪に問われずに、
父の妹である叔母さんの家に引き取られ
父は私を戸籍から外して、叔母さんにかなりのお金を渡したらしい。
社長としての立場とかあったんだろう。
叔母さんはあからさまに私を嫌い、
高校に入る時には家を用意して出ていってくれと頼まれた。
｢私のこと恨んで火つけたりしないでよね｣
皮肉たっぷりのその言葉も、よく夢に出てくる。
私は人殺し。
実の家族
と言えるのか分からないけれど
二人も、自分の手にかけた。
その罪が、この背中の痕だと思ってる。
廉｢お前が殺したの、二人だけやと思ってた？｣
永瀬の言葉で我に帰り、
震え出す体。
廉｢何でお前が何の罪にも問われず生きてるか知ってる？｣
視線の先には龍也がいて、
『それ以上…言わないで……』
廉｢俺の親父もお前に殺されたんやで｣
→
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作者名：きらり | 作成日時：2017年12月29日 19時
