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『え…』
山手高校の永瀬廉。
喧嘩したこともある。
なんなら今すぐ殴りかかりたいくらいだった。
顕嵐たちに理不尽な喧嘩ふっかけたんだから。
廉｢そんな怖い顔しないでよ〜客やん？俺。｣
『…っお客さんなら、ハルって呼ばなきゃダメでしょ？』
廉｢ふーん、営業スタイルで来るんやな｣
『…仕事中だから』
廉｢あんな、俺の知り合いの女の子が学校辞めたらしいねん。
めちゃめちゃ喧嘩強くてさー、また相手して欲しいなぁって思ってるんよ｣
こんなにやりづらい客は初めてだった。
当たり前だけど。
他の客と同じように自然な流れでキスをする。
でも相手が永瀬廉だって意識しちゃうとどうも集中出来ない。
廉｢ハルちゃん、本番したりすればすぐナンバーワンなれるやろ、美人なんやから。
なんで出し惜しみしてるん？｣
『私は規則の範囲でしかやらないんです。』
廉｢つまんないなぁ｣
あまりのやりづらさに、仕事モードを突き通すのも限界だった。
『…要件は何？』
廉｢あれ、Aちゃんに戻ったん？｣
『からかいに来たなら帰って。
てか高校生だめだからこういう店』
廉｢自分も人のこと言えないやん(笑)
いくつ年サバ読んでんの？
まぁええよ、美人さんやから許してあげる。
阿部顕嵐たちとは未だに会ってるん？｣
『…今すぐボッコボコにしたいあんたのこと』
廉｢お〜こわ(笑)
女の子がそんな怖いこと言ったらあかんて｣
話が通じない相手と話すのってこんなにストレスだっけ。
会話が成り立たないにも程がある。
『お金いいから帰ってほんとに。』
廉｢わかったわかった、また今度来るからその時は最後まで相手してな？｣
『ちゃんと客らしくするならね』
せっかく勤務時間延ばしたのに
こいつの分は稼ぎゼロ。
迷惑すぎる。
規定通り出口まで送って、名刺を渡す。
『また来てくださいね！』
廉｢ありがとう、またね。
………七五三掛先輩と仲良くするんやで｣
一瞬で、
背筋が凍った。
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作者名：きらり | 作成日時：2017年12月29日 19時
