別れはきっと辛いけど【白布賢二郎】

08 ページ8

＿___________________________________

________________________________

___________________________


本当は昨日もっと早くに帰るつもりだった。今日の1限に単位が左右される大事なレポートの提出があってそれを昨日の夜に完成させようとしていたから。

それが話していたらあっという間に22時を迎えて家に帰れば23時、そこから必死にレポートを見直して書き直して、なんてしていたら寝たのは3時だった。


レポートは無事に完成したけれど1限からの時は5時起き、だから2時間睡眠？めちゃくちゃ眠い。



「……けど、楽しかったな。」


昨日のことを思い出してポツリと呟く。目を瞑ればすぐに昨日のことが頭に浮かぶくらいあの病室で過ごした時間は濃厚で脳に焼き付けられている。

殺風景な真っ白な病室に真っ白な彼女。白のペイントと同じくらい、いやそれよりも透き通ってみえるほどの肌の色に今にも折れてしまいそうな細い腕。


腕にたくさんの管をつけて脇にはカプセルや粉の薬やら、それらを見ているだけでも辛いであろう闘病生活が思い浮かぶ。――でも、それでも彼女は。



「……瀬見さん？」


後ろから声を掛けられて思わずハッとする。振り返ればそこにいたのは眠たそうな顔をした白布だった。



「お、おう、おはよう白布」

「こんな所で突っ立ってどうしたんですか。1限もう始まりますよ」

「ちょっと考え事してて」

「へぇ」


自分からどうしたんですかって聞いたくせに心底興味なさそうに大きくあくびをしながら言う。




「あ、白布、今日一緒に昼食わねえか？」

「遠慮しときます」




……ったく、今日もかァいくねえ。

09→←07

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す