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あっという間に来た2日後の午後。
俺は家を出るとすぐにタクシーを拾って病院へと向かった。降りてからは松葉杖をつきながらこれはAにどう説明をつけようか、なんて考えて。
Aがこれを見たらきっと驚くから、適当に転んでただの捻挫だの、医者が大袈裟すぎただの言っておこう。
もう顔は見ないつもりだったけれど、最後のお願いって言われたら、行くしかない。それに本当に俺はAの手術の日に紙に心臓、って書くつもりだからこれで会えるのは本当に、最後なんだ。
カツ、カツ、
松葉杖をつきながら慣れた手つきでエレベーターに乗り三階に上がる。降りて右に進み、一番奥の突き当たりにAの病室がある。
扉の前で一度深呼吸。そして数十秒後、覚悟を決めて扉を勢いよく開けた瞬間、そこには。
「っえ……」
そこには、誰もいなかった。
綺麗に伸ばされたベッドのシーツ。その上に畳まれたブランケット。棚を開けてもAのお気に入りのタオルが見つからない、いやもはや何もない。
まるでもぬけの殻。あるのはゆらゆらと揺れるカーテンだけ。
「なんで……っ」
松葉杖を投げ捨て、足を引きずりながら病室の扉を確認するとそこに書いてあるはずのAのプレートが外されていた。
場所は合っているはずだ、間違いない。間違えるはずがない、なら、なんでここにいないんだ。
俺はすぐにナースセンターに向かった。俺のことも知っているAの担当の看護師に話しかけたけれど、Aの名前を出すと何故か苦しそうに顔を歪める。
――そして、
「Aちゃんは昨日手術を受けたのよ」
ひゅっ、と風をきる音がした。
息苦しい。気持ち悪い。怖い。嫌だ。いろんな感情が芽生えては俺の心を覆い尽くす。
なんで、なんで、なんで。
手術は一週間後って言ったのに。
「白布……ッ!!」
状況が理解できずにただただ立ち尽くす俺に瀬見さんが駆け寄ってくる。そして、頭を深く下げた。
「白布……ごめん……ッ、俺が、俺がAちゃんに手術を受けた方がいいって勧めたんだ」
あぁ、もう、
心臓が潰れてしまいそうだ。
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カナエ・リフレッシュ(プロフ) - *夢華*さん» はい!無理の無い程度に頑張って下さいませ!楽しみにしてます!あ、久々ですけど名前略してくれて構いませんよ(笑)それでは応援しております! (2016年12月18日 10時) (レス) id: 28bf1d85d0 (このIDを非表示/違反報告)
*夢華*(プロフ) - らるこさん» らるちゃんコメントありがとう(*^^*) 私の尊敬してやまないあなたにそう言ってもらえるとすごく嬉しいです(*ノ∀ノ) ワクワクドキドキをお届けできるような作品になるように精一杯頑張ります! (2016年12月18日 10時) (レス) id: ff4f19ad35 (このIDを非表示/違反報告)
*夢華*(プロフ) - カナエ・リフレッシュさん» カナエ・リフレッシュさんいつもコメントありがとうございます!読者さんをあっと驚かせるような展開にしたいと思っているので、あれこれと予想しながら読んで頂けると嬉しいです(*^^*) これからも更新頑張りますね! (2016年12月18日 10時) (レス) id: ff4f19ad35 (このIDを非表示/違反報告)
*夢華*(プロフ) - 白猫姫さん» お久しぶりー!コメントありがとう、めちゃくちゃ嬉しいです(*^^*) 白布と瀬見さん初めての試みで緊張してるけど自分なりのペースで更新頑張るね!(ノ)´∀`(ヾ) (2016年12月18日 10時) (レス) id: ff4f19ad35 (このIDを非表示/違反報告)
*夢華*(プロフ) - フェイロさん» フェイロさん、コメントありがとうございます!精一杯更新頑張りますね!^ ^ (2016年12月18日 10時) (レス) id: ff4f19ad35 (このIDを非表示/違反報告)
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