あなたの彼氏譲ってください。【及川徹】

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「けど…っ」

「そーだよ岩ちゃん。もう俺たち関係ないから」


岩泉くんの言葉に被せて言ってきたのは、ドアにもたれて腕を組む徹。

その横には奈美ちゃんもいた。



「別れたんだ、Aからフッてきたんだよ？だから今日の記念日なんてソイツにとってはどうでも良いんだよ。楽しみなんて嘘。」

「 …てめっ、何言ってんだよ」

「だってAは俺のこと嫌いだから。」


ギロリと鋭く睨まれた気がする。怖くて徹の顔が見れない。思わず視線を下に落とした。

私がしたことは本当に正しかったんだろうか…なんて今更後悔したってもう遅いのに。



「それに俺のこと嫌いなのに無理に付き合おうとする奴より、こうして奈美みたいに俺のこと好きでいてくれる子といた方が楽しいから…」



「邪魔しないで、岩ちゃん。」




徹はそう言って奈美ちゃんの手を掴むと教室から去っていた。

その瞬間からクラスがざわざわとしてきて岩泉くんは拳を握りしめて唇を噛み締めてた。




ごめん、ごめんね岩泉くん。

私は彼の背中を見つめながら小さな声で呟いた。

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