あなたの彼氏譲ってください。【及川徹】

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…いや、そうか。私今朝別れようって言ったんだしあんな反応するのは当たり前だよね。

でも奈美ちゃんとあんなに仲良くしてるのはなんで？手を繋いでたってことは確実に付き合ってる。



「徹…。」


なんの温もりのない冷たい自分の掌を見ると、辛く虚しくなって私はぎゅっと握りしめた。

一週間だけだ、奈美ちゃんのためだ。大丈夫、私は何も気にすることはない。



「おいっ、どういうことだ！」


突然ガラッと教室の扉が開いたかと思えば荒々しい声と共に岩泉くんが入ってきたのだ。

徹と仲がいい岩泉くんだから、私も自然と仲良くなってよく相談にも乗ってくれた優しい人。



「え？何が…」

「及川のことだよ！あの2年の女と付き合い始めたって言ってて教室にまで連れてきてよ…っ」

「あぁ、うん、付き合ったんでしょ」


やっぱり付き合ってたんだ。私はまるでロボットのようにプラミングされたような声で応えた。

すると岩泉くんは私の肩を掴んだ。



「なんで…、お前今日のことずっと楽しみにしてたじゃねえか！俺にも相談してきて…なのになんで」


岩泉くんの怒りの、でもどこか悲しそうな目を見ると私は申し訳なくなった。

今日は二年目の記念日だったから何しようって岩泉くんにも相談してたもんね、ごめんね。

きっと岩泉くんは二年も付き合ってきた私たちがこんな呆気なく別れて辛いというか、ずっと側で見守ってくれてたから…。



でも奈美ちゃんが病気で死んじゃうってこと周りに言いふらすもんじゃない。

それに一週間経てばまた元に戻るはずだし、そうなった時に記念日を祝うから、だから今はーーー。





「 …いいの、別れたんだから関係無いよ。」

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