あなたの彼氏譲ってください。【及川徹】

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『Aは今日は何の日か知ってますか？…ってこの手紙渡してる頃には二年目の記念日パーティーしてるもんね！はい、今日はご存知の通りーーー』



グシャ、と鞄の中から出てきた昨日の夜中に書いたAへの手紙を丸めてゴミ箱に投げた。

こんなの書いちゃって惨めだなあ、俺。まさか別れようなんて言われると思わなかったからウキウキしながら手紙書いてたんだろうね。



「及川！ゴミを投げるな！」

「はぁーいすいませーん」


…Aが俺を嫌いになったのっていつからなんだろう。結構前から？それも1年前とか。

Aの悪いところは優しすぎるところだよ、なんてよく言ってたけれどやっぱりお前の妙な優しさが俺を苦しめたんだ。


嫌いなら嫌いって早く言ってしまえばよかったものを、今の今まで躊躇っていたのか？

俺に申し訳なく思って？ …あぁもう、Aが何を考えてんのか分かんない。イライラする。



『及川先輩私と付き合ってください』

『偽りでも一週間だけでもいいんです…！』




奈美が俺に告白をしてきたのはグッドタイミングと言っていいのか…。

でも素直に好きと言われて悪い気にはならない。むしろ最後の願いとして俺と付き合いたいって言ってくれるなんて嬉しいことだ。



…だから、もっと真剣に向き合わないとね。

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