君は泣いていた。【岩泉一】

01 同窓会 ページ1

「昼はボウリングで夜は居酒屋？」



心地の良い風が吹く土曜日の朝。


部屋でのんびりココアを飲んでいたら

高校の同級生でもあり幼なじみでもある徹から

電話が掛かってきたのだ。



高校を卒業して早１年。


最後のクラスは仲が良かったということもあり

久しぶりにみんなで集まって同窓会を開こう、

となったようだ。





「ごめんね。行きたいのは山々なんだけど…」


私だって３年５組のみんなが大好きだ。

当然、会いたいと思う。

だけど今日はどうしても同窓会には行けない。


なぜなら…、






『そう言うと思ったよ。』

「…徹も、覚えてたんだ。」

『うん。俺も、断ろうと思ったんだけどね…。』



徹はクラスのムードメーカーだもん、

いなきゃダメでしょ。

多分、クラスの子にしつこく言われたんだろうな。





「私、今日お墓参り行く」

『俺は今朝行ったよ』


「そう。…じゃ、みんなによろしくね」




バイバイ、

そう言うと私は電話を切った。

徹が『バイバイ』と言い返すのを待たずに。


私の頭の中はあの子のことでいっぱいで。

とても同窓会なんて行けやしないよ。








.








多分、同じことを考えてる人が

もう一人いる。



……いや、絶対に。

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