検索窓
今日:11 hit、昨日:3 hit、合計:238,407 hit

ページ6

彼が何を言いたいのか、分からなかった。


だいたい、さっきから、

私のことを名前で呼んでる、


そのことの方に、気を取られてて、

質問が頭に入ってこない。


「コーヒー、ありがとう。
いくらだった?」


代わりにそう言ったら、
大倉くんは、
ちょっと困った風に笑った。


「お金なんか・・・
いりません」


さらさらした前髪の向こうで、
綺麗な瞳が少し、翳りを持つ。


「ありがとう、頂きます」


この人は、まるで夢のように、美しい。


そんなことを、考えていた自分に驚いて、
慌てて目をそらす。


コーヒーを飲んだら、
それは想像してたのとは違って、
甘ったるくて、
疲れた身体にじんわりと染み渡った。


「すいません。
不躾でした。
さっきの質問は忘れて下さい。
半分、打ち込み手伝います」


大きな手、長い指で資料をひょいと摘まみ上げる。


「いいよ、私の仕事だし、
大倉くん、舞花ちゃんと・・・」


「彼女とは別に約束あるわけちゃうから。
それに、Aさん一人に、
こんな膨大な仕事、押し付けられへん」


敬語、なくなった。


急速に距離が近付いてることに、
体全体が警戒し始める。


「でも、そんな悪いし、いいよ」


「・・・迷惑、ですか?」


「そうじゃないけど・・・」


「なら決まり!
これからは、
面倒な仕事は二人で。
一人で抱えこむんはなしな?」


大倉くんの笑顔は煌々と灯る蛍光灯より眩しい。


またそんなバカなことを考えていた・・・

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (223 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
523人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みき(プロフ) - 完全な罪。をちょうど先週読み返させて貰ったところで、更新通知があったので今日も読ませて貰いました!こういうお話もけっこう好きです(//∇//)なので、もし良かったらまたこういうお話も書いて頂けたら嬉しいです。 (2020年12月3日 1時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完全な罪。も好きなお話です!公開して下さり、ありがとうございます!foolさんの小説は本当にどれも好きなものばかりで、毎回楽しみです!! (2019年9月20日 21時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - こういうタイプのお話好きです(*^^*) また機会があったらお願いしたいくらいです 完全な罪も素敵でした、ありがとうございました♪ (2019年9月20日 1時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - ボディーガード、この手のタイプの人はホントに怖いと思います…面白いお話でした、ありがとうございました♪ (2019年5月19日 15時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
yume.no.(プロフ) - コメントする前にどんどん新しいお話が!全部主人公の妄想だったのかー!こわい!倉安の今後が気になるお話☆十祭のエイトレンジャーのブラックヤスくんを思い出しました笑 (2019年5月17日 13時) (レス) id: 716f977705 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:fool x他1人 | 作成日時:2019年4月25日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。