完全な恋人

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昼休みに、近所の喫茶店で、
ゆっくりと封を開けた。


「・・・ふっ」


思わず、漏れた笑み。


忠義くんは、それはそれはもう、
びっくりするほどにモテる。


私という平凡でつまらない彼女がいるせいで、
余計に対抗馬になりたがる子が続出してるっていう。

だから、仕方ないのかもしれない。


だけど・・・

相手の顔がはっきり写ってる、
最後の写真を見て、驚いた。


「相手は、部長の奥さま、ね」


部長は２０歳近くも年の離れた、
若い美人の奥さんをもらった。

うちの社の受付嬢をしてた由美子ちゃんだ。

その由美子ちゃんと・・・


年中、忠義くんを追いかけましてる、
新里さんに見せたら、
どんな顔するだろうか。


新里さんと由美子ちゃんは、
同期入社の、
親友同士。


雰囲気が似てて、
双子なんて呼ばれてた。


「その彼女とこんなとこ入っちゃうなんて。
ちょっと懲らしめてやらなきゃ」


趣味の悪い、メルヘンチックな装飾のホテルへ、
入って行ったのは、

夜の２３時過ぎで、

出て来たのは、翌朝の７時前。


日付は先々週の、金曜。


「お客さんと飲んでるうちに、
終電逃して、
カプセルホテル泊まったなんて言ってたくせに」


いい男の特徴なのか、
忠義くんは、嘘がうまい。

いろんな女にいい顔をしてるうちに、
身につけた処世術なのかもしれない。


社内メールで呼び出したら、
忠義くんが、息を切らして、
お店に入って来た。


「こういうん、ほんまにやめてくれへん？
だいたい、なんで俺んちの前に引っ越しなんて・・・」


「引っ越し？
忠義くんが言ったんでしょ？
近くに住んでる方がなにかと便利って」


答えながら、
切り札の写真をひらひらさせてあげる。

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