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エレベーターに乗ってから、
我に返った。


もぞもぞして、
その背中から降りる。


「大倉くん、病院なんて大げさな事いいよ。
休憩室でバンドエイドでも貼るだけで」


「バンドエイドって。
久々聞いた。
可愛い言い方」


大倉くんが笑ってくれた。

それだけで、こんなに幸せなんて。




誰もいない休憩室。

大倉くんが、救急箱をガサガサしてる。


血のついたストッキング、脱がないと。

替え、ロッカーにあったかな。


「大倉くん、私、更衣室行ってくるね」


背中に声をかけたら、
消毒薬とバンドエイドを手に、
大倉くんが振り返った。


「ストッキング脱ぐん?」


はっきりと聞かれてしまって、
なんだかすごく恥ずかしい。


「ここで脱いだらいいやん。
俺ら、カップルちゃうん?」


ちょっと拗ねた声。


「カップルってそういうもの?」


「うん。知らんの?
俺ら以外、誰もおらんし」


「そう、だよね」


「はよ、脱いでまい?
はよ消毒せんと」


急かされて、
隅っこで、
こそこそしてるけど、
事務服は膝下中途半端な丈のタイトスカートで、
脱ぎにくい。


それに、背中に痛いほどの視線を感じる。

まさか、自意識過剰だよね。


私の大根足なんて、
見てるわけ、ない・・・


ゴミ箱に捨てて、
恐る恐る振り返ったら、

大倉くんが、慌てて視線を逸らしてるの、
気付いてしまった。


その顔は真っ赤で。


「ご、ごめん。
つい、ガン見してもうた」


何人も彼女いただろうし、
女の素足なんて見慣れてるはずなのに。

きっと、大倉くんの付き合ってきた、
女の子たちのような、
綺麗な足ではないはずなのに。


「Aさん、器用に脱ぐねんな。
もうちょっと上まで見えるかと思たのに」


真っ赤なくせに、いたずらっぽく言って。


私に小さなソファに座るように、促した。

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みき(プロフ) - 完全な罪。をちょうど先週読み返させて貰ったところで、更新通知があったので今日も読ませて貰いました!こういうお話もけっこう好きです(//∇//)なので、もし良かったらまたこういうお話も書いて頂けたら嬉しいです。 (2020年12月3日 1時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完全な罪。も好きなお話です!公開して下さり、ありがとうございます!foolさんの小説は本当にどれも好きなものばかりで、毎回楽しみです!! (2019年9月20日 21時) (レス) id: ad46af1069 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - こういうタイプのお話好きです(*^^*) また機会があったらお願いしたいくらいです 完全な罪も素敵でした、ありがとうございました♪ (2019年9月20日 1時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - ボディーガード、この手のタイプの人はホントに怖いと思います…面白いお話でした、ありがとうございました♪ (2019年5月19日 15時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
yume.no.(プロフ) - コメントする前にどんどん新しいお話が!全部主人公の妄想だったのかー!こわい!倉安の今後が気になるお話☆十祭のエイトレンジャーのブラックヤスくんを思い出しました笑 (2019年5月17日 13時) (レス) id: 716f977705 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2019年4月25日 17時

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