今日の歪

今日のわんこ　35号 ページ40

時刻は夕方。

そろそろ歪が別の任務から帰ってくる頃だ。

洗濯物を取り込んで私の部屋に運んでいる最中、見慣れた背中に声をかける。

A「あ！歪！おかえりなさい。」

私の声に反応して振り返る歪。

歪「Aさん！AさんAさん！」

少し困り眉で私の名前を呼ぶ歪。

突然、名前を連呼されて首をかしげる。

A「？」

歪「Aさん！Aさん！」

A「？？？」

歪は私の手を引っ張って一緒に同行していた隊員のところへ連れていった。
　
A「私の名前しか連呼できなくなる血蝕解放にかかった？」

「はい…。鬼は殺したんですけど、当分はこのままかと…。明日には戻ると思いますので…。」

それから、歪は生まれたてのひよこの如くAの後ろについてきてAの名前を連呼する。

歪「Aさん！Aさん！」

A「今日の夕飯はからあげよ。」

歪「Aさん！Aさん！」

A「え？良いわよ。私が運ぶからあんたは休んでなさい。」

こんな会話が続き、周りの隊員たちが疑問を抱く。

「「「「「(なんで、会話成立してるんだ？？？)」」」」」

一日中この疑問が無くなることはなかった。

歪「Aさん！Aさん！」

A「はいはい。後でやってあげるから待ってなさい。」

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