火花 ページ11
夕方と夜の間の薄闇が体にまとわりつくような感覚がする。それを振り払うように勢いよく歩く。
あんな意味ありげに花火をしようなんて言い出すから何かあるのかと思ったけれど本当にコンビニで花火を買っただけだった。双子の思考はよくわからない。
現在は双子の家の庭だ。唐草が蝋燭とバケツを用意している横で海と空は楽しそうに袋を開けている。
ぼーっとしていると線香花火を持たされる。
「誰が一番長く持つか勝負ね!」
皆で一斉に火をつけるとぱちぱちと火が爆ぜ始めた。
黄金色の小さな光。けれどその光は長くはもたない。
けれど海、唐草、空と順番に消えていく中で自分の手の中にはまだ火が残っていた。
「御門の、長いな。」
「不思議なことにいつも最後まで残るんだよね。」
言ってから気づく。いつも?そんなに頻繁にしていただろうか。最後にやったのはいつだっけ?
「・・・・かど、御門!」
はっと我に返る。深く考えすぎていたみたいだ。
唐草が燃え尽きた花火を手から取ってバケツの中に入れた。ジュッという音と火薬のにおいが残る。
双子はいつの間にか色が変わる花火で遊んでいた。赤、青、緑・・・見つめていると突然バチッという音が足元からした。
「わっ!」
思わず驚く。音の正体はねずみ花火だ。犯人は、唐草。
「ぼーっとしてると当たるぞ。」
「珍しく楽しそうな顔してるね。」
「まぁな。」
「遊んでるでしょ。」
「さぁ。」
絶対遊ばれている。仕返しにと自分も花火に火をつけたけれど逆に驚いてしまった。
「面白そうなことやってるね!」
双子も参加して散々ビビらされた。3対1はずるいと思う。
全部の花火が終わると周りは完全なる闇の中だった。逃げ回ってもうくたくただ。
時間的にも家に帰った方がいいだろう。
海と空も細い道を出るまで一緒に行くというのでみんなで歩いていた。
車が通れる道に面するところまでいく。
「ここって信号ないから飛び出すと危ないんだよね。」
その言葉と同時に白い車が通りすぎた。その瞬間、何かが頭を通り過ぎる。
あぁ、あぁ・・・・・そうだった。そうだったじゃないか・・・・・・・!
空っぽのはずの部分が急速に埋まっていく。
確かに、いたじゃないか。・・・・・・・・
大好きな、兄が。
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作者名:lamerise | 作成日時:2018年3月11日 22時