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「おい夏油、1秒以内に離れるか解剖されるか好きな方を選べ」
「私はAと楽しくおしゃべりしてただけだよ」
「わかった解剖だな」
そんな会話と叫び声を右から左に受け流しながら、毎度恒例、何でこうなったかなとAは過去を振り返る。
――家入の元から全力で逃げ出したAは行く宛もなかったので、冷たい飲み物でも飲んで落ち着こうと自販機コーナーに逃げ込んでいた。それにしても何でこんなことになってしまったのだろうか、とAは絶望する。友情を求めて八方美人したら彼氏面が返ってくるって如何なものだろう。嫌われるよりはそりゃ良いけれども、やっぱり八方美人はするものではないとネット記事に同意することになった。
自販機の前で小銭も入れずにそう考えていると、ピトリと冷たいパックジュースが頬に触れた。
『!?!?』
「ごめんね、驚かせたかな。ずっと悩んでいるようだったから心配で」
振り返れば夏油が立っており、頬に触れたジュースはAの手の中に収まった。
『え、夏油くん……』
「よく飲んでたと思って。違った?」
『飲んでるけど、……ありがとう』
貰っていいの、と続けようとすればニコリと微笑まれたので何も言わずに受け取ることにした。圧を感じた。
そうだ、夏油くんに相談してはどうだろう、と名案を思い浮かべたAが声を上げるよりも早く夏油が話しだした。
「今日は編み込んでいるんだね?可愛らしい君に良く似合ってるよ」
『ありがとう、これ硝子ちゃんにやって貰っ』
「ああ勿論、普段の髪を下ろしたままの君もとてつもなく魅力的なのには変わりないのだけど。流石は私のAだね、どんな髪型でも服装でも様々な魅力を日々見せてくれる」
『(……“私の“?)』
言葉を遮られた時点ですでに嫌な予感はしていた。その嫌な予感が“私の”というフレーズで3倍くらいに膨れ上がる。
「そういえば悟に聞いたよ、補助監督に詰め寄られたんだってね」
『いや違』
五条の伝達の時点でこんなにも脚色されていたのか、もしくは受け取った夏油がこんなにも脚色したのかは定かではないが事実無根の出来事が生まれてしまった。
「君はこんなにも魅力的だから男が寄るのは仕方のないことかもしれないけど心配だな、何かあってからでは遅いんだから。もしものときは私の名前を出してほしいな。そうだそれから―――」
Aは諦めてジュースを口に含んだ。話は1時間に及んだ。
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夢のわたあめ(プロフ) - ユナさん» お返事遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!!!肉こそが全て、と思っている男子高校生らしい選択肢…… (12月10日 22時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - お疲れの夢主を癒す話めっちゃ大好きです!「fish or chicken?」ではなく「肉or肉」で大爆笑しちゃいました! (11月24日 18時) (レス) id: c2a36c0403 (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» こちらこそありがとうございました!是非ピンクのピンを受けとってくださいまし……!✨ (9月27日 7時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 人生ゲーム書いていただきありがとうございます(๑>◡<๑)硝子のツッコミといい私と結婚するだろのセリフヤバすぎます!ときめいた😍‼︎自分もピンクのピン欲しいっ (9月27日 0時) (レス) id: fe39496f9e (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» 2回目のリクエストありがとうございます!!全力で人生ゲームを遊ぶ4人、素敵なシチュですね……✨更新再開後執筆させて頂きます! (9月8日 18時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢のわたあめ | 作成日時:2023年8月8日 14時