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家入硝子の場合 ページ4

「お、クズ共いないじゃん、ラッキー」

五条が教室を出てから数分後、次の声の主は家入であった。家入はAの隣の席の椅子を引っ張ると、Aの隣を陣取った。
家入とは同性というのともあり、他の二人よりかなり仲が良いとAは自負している。しかし数日前に『硝子ちゃんと一緒にいるの楽しい!』という趣旨の話をすれば、「まあ彼氏だし」と至極当然そうな顔をされたのでその日1日は『(硝子ちゃんは…彼氏……)』と思い続けることとなった。違うけど。

「今朝はクズ共に何かされてないか?」

『あ〜……別に特に大丈夫だよ。何ともない』

五条のことが一瞬頭をよぎったが黙っておく。別に何か害があった訳では無いし、もしもうっかり話してそれが家入の地雷だった場合―――

「そう?なんかあったら言いなよ、あいつらの粗末なもん引き千切るから」

―――という彼女の今のセリフが現実になりかねないため言えない。別に彼らのブツがどうなろうと酷い言い方をすれば知ったことではないのではあるが、彼氏面はともかく良くしてくれているクラスメイトに恩を仇で返してもなぁ、と己の良心が訴えかけてくる。多分家入にそれを言えば「あいつら己の欲に忠実なだけだから恩は感じなくていいぞ」と返ってくるだろうが。

「……お、Aリップ変えた?前よりちょっとピンクっぽいな、似合ってる。可愛い」

するり、と家入の手がAの頬を滑る。
家入の厄介な点はここにある。他二人は異性であるからか当人たちの性質であるからかは定かではないが、過剰なスキンシップは(例外を除き)あまりない。しかし家入は同性であるというアドバンテージを活かし、もの凄くスキンシップしてくる。事あるごとに触れられ、褒められ、やはり家入硝子は彼氏だったのか、と錯覚させられる。違うけど。

『良くわかったね?褒めてくれて嬉しい』

なるべく平然を保ちながら笑って返事をすると、ふふ、という笑い声と共に家入は微笑んだ。

「アンタは惚れてる女だからね、嫌でもわかる」

甘――――い!!!
Aの心の中にいる誰かが全力で叫んだ。助けて、と思っていると、夜蛾が教室の扉を開け家入を手招いた。

「硝子、急患だ、頼む」

「チッ………じゃあ後でねA、今日放課後カフェ行こ、デート」

「オイ今舌打ちしたか?聞こえてるぞ。……というわけでA、SHRは少し遅れる。悪いな」

『全然!!』

むしろ助かりました、という本音は仕舞い込み、家入を見送った。

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夢のわたあめ(プロフ) - ユナさん» お返事遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!!!肉こそが全て、と思っている男子高校生らしい選択肢…… (12月10日 22時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - お疲れの夢主を癒す話めっちゃ大好きです!「fish or chicken?」ではなく「肉or肉」で大爆笑しちゃいました! (11月24日 18時) (レス) id: c2a36c0403 (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» こちらこそありがとうございました!是非ピンクのピンを受けとってくださいまし……!✨ (9月27日 7時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 人生ゲーム書いていただきありがとうございます(๑>◡<๑)硝子のツッコミといい私と結婚するだろのセリフヤバすぎます!ときめいた😍‼︎自分もピンクのピン欲しいっ (9月27日 0時) (レス) id: fe39496f9e (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» 2回目のリクエストありがとうございます!!全力で人生ゲームを遊ぶ4人、素敵なシチュですね……✨更新再開後執筆させて頂きます! (9月8日 18時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢のわたあめ | 作成日時:2023年8月8日 14時

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