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「花火始まるぞ!急げ!」
先頭をきって後ろを振り返りながら走る五条に、夏油は額に手を当てて大きくため息を吐く。
「元はと言えば悟がギリギリまで型抜きに執着してたからだろ」
「しかも全部ひと針目でパァだったのウケるよな、動画撮ったけどA欲しい?」
「要らねーだろ、んなモン!つーか硝子は撮るな!」
『欲しい……!』
「欲しいのかよ!!」
わかった、いくらだ?いくら積めばいい?……ワンカートンだな?なんて交渉をしているうちに目的地へ辿り着く。ここが花火がよく見えると言われている場所である。流石によく見える場所なだけあって、人が多い。
「本当は最前列で見るか、他の穴場を見つけたかったんだけど……ごめんねA、良かったら肩車しようか?」
『ここからでも大きく見えそうだし、気持ちだけ受け取っておこうかな……』
180cm後半の男に背負われたら、最低でも3mは超える。それは流石に目立ちすぎるので嫌である。
「肩車なら俺がするし。つーか退かせば良くね?声かけりゃ退くだろ」
「五条の場合、声かけるんじゃなくて圧かけるんだろ」
『それも気持ちだけで……』
「じゃあ私が抱っこするか?」
『えっと』
ヒュ――――ッ………ドン!
そんな会話をしていれば、大空に1輪の花火が咲き誇る。
全員がパッと顔を空に向けると、その一発を皮切りに空は光で埋め尽くされていく。
赤、青、黄色に緑、色とりどりで、様々な形の花火。
ポカンと開いていた唇が、言葉を紡ぎ出そうと微かに震える。
『………綺麗』
「……そうだね、とっても」
「……ん」
「綺麗だな」
三者三様の返答を耳にしながら、黙ってAは花火を見つめ続けた。
『凄かったね花火!ドンって!キラキラって!』
「語彙力無くなってるぞ、落ち着け」
「そんなところが可愛らしいよね、ねぇ悟」
「な!!マジでヒュ〜ドンのキラキラヤバかったよな!」
「「……」」
同じテンションで話す五条達を見て、ちょっと呆れたがまぁ良いかと思い直す。今回もAを独り占め、とはいかなかったが、皆で全力ではしゃげたのも、所謂青春だと笑みが溢れた。
「……マジで、綺麗だった」
突然声のトーンを落として呟いた五条に、夏油と家入はぱちくりと目を瞬かせ、そして笑った。
「そうだね、宇宙で1番」
「いや、全銀河で1番だろ」
『ね!また来年も皆で花火見ようね!』
Aの言葉に会話が一瞬止まり、そして3人は声を揃える。
「「「次は2人で!」」」
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夢のわたあめ(プロフ) - ユナさん» お返事遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!!!肉こそが全て、と思っている男子高校生らしい選択肢…… (12月10日 22時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - お疲れの夢主を癒す話めっちゃ大好きです!「fish or chicken?」ではなく「肉or肉」で大爆笑しちゃいました! (11月24日 18時) (レス) id: c2a36c0403 (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» こちらこそありがとうございました!是非ピンクのピンを受けとってくださいまし……!✨ (9月27日 7時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 人生ゲーム書いていただきありがとうございます(๑>◡<๑)硝子のツッコミといい私と結婚するだろのセリフヤバすぎます!ときめいた😍‼︎自分もピンクのピン欲しいっ (9月27日 0時) (レス) id: fe39496f9e (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» 2回目のリクエストありがとうございます!!全力で人生ゲームを遊ぶ4人、素敵なシチュですね……✨更新再開後執筆させて頂きます! (9月8日 18時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢のわたあめ | 作成日時:2023年8月8日 14時