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すると突然頬に伝わってきた冷たさに肩を跳ねさせ振り返ると、そこには普段通りの五条が立っていた。
頬に触れたのは五条の水で濡れた手だと理解する。
「……おら」
そのままずい、と差し出された手に握られていたのは冷やしパイン。Aが困惑して首を傾げれば、空いている手で五条は自分の頭をガシガシと掻きむしる。
「んだよ、好きって言ってただろ」
『確かに好きだけど、その……?』
「やるっつってんの!!偶然近くに売ってたんだよ」
無理矢理手渡されたそれにキョトンとなおさら困惑する。天上天下唯我独尊で、話をあんまり聞いてくれないで有名な五条くんが私のために……?てな感じである。
『えっと、ありがとう』
「………」
『………』
隣にドカッと腰をおろした五条との無言の時間が続く。
大体五条が「アイツは誰だ」から始まる問答で会話しているので何だか気まずい。
『(そういえば私から五条くんに話しかけることってほとんどないよなぁ……折角だし私から話しかけ――)』
ようかな、と隣を見れば、せわしなく視線を彷徨わせ、またもや頭を掻きむしっている五条が視界に入ったのでそっと口を閉じた。まだ不機嫌だった。怖い。
「A!私の方が多く景品を手に入れたよ!見てた!?」
「量じゃなくて質だろ。A、私がぬいぐるみを取ったからな、見てたか?」
『あ〜〜……2人ともかっこよかったよ!!おかえりなさい!!』
半分以上見てなかったがそう笑顔で伝えると、2人は何かを察したような笑顔で頭を撫でてくる。因みにその”察し“とは、Aが嘘をついたことに気がついたこと。バレてないと思ってるの可愛いからいっか、くらいである。
「……で、悟も無事冷やしパインを買えたみたいで良かったね」
「なっっっ」
「キョロキョロキョロキョロ、必死こいて屋台探してたもんな」
「は!?違ッ」
みるみるうちに顔を赤く染めていく五条は否定しようとガッとベンチから立ち上がるが、すぐに他2人によって座らされる。
またもや状況が飲み込めないまま、Aはそんな3人をポカンと見つめる。すると五条と目があって、数秒間見つめ合った後
「……わ、るかったな」
と、か細い声が五条から聞こえてきた。
『え?何が?』
だがしかし、彼女には謝られる理由に何一つ心当たりが無かった。その返答を耳にするや否や五条は瞬く間に顔を真っ赤に染め直す。
「何でもねぇ!!おら、かき氷食うぞ!!」
その後、五条はいつも通り(?)となった。
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夢のわたあめ(プロフ) - ユナさん» お返事遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!!!肉こそが全て、と思っている男子高校生らしい選択肢…… (12月10日 22時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - お疲れの夢主を癒す話めっちゃ大好きです!「fish or chicken?」ではなく「肉or肉」で大爆笑しちゃいました! (11月24日 18時) (レス) id: c2a36c0403 (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» こちらこそありがとうございました!是非ピンクのピンを受けとってくださいまし……!✨ (9月27日 7時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 人生ゲーム書いていただきありがとうございます(๑>◡<๑)硝子のツッコミといい私と結婚するだろのセリフヤバすぎます!ときめいた😍‼︎自分もピンクのピン欲しいっ (9月27日 0時) (レス) id: fe39496f9e (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» 2回目のリクエストありがとうございます!!全力で人生ゲームを遊ぶ4人、素敵なシチュですね……✨更新再開後執筆させて頂きます! (9月8日 18時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢のわたあめ | 作成日時:2023年8月8日 14時