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『(今日もかっこよかったな〜〜)……ってやば!』
リアタイを終えたあと、今日が任務日であることが頭からすっぽ抜けていたAは慌てて立ち上がる。
五条が圧をかけ直して以来、またもや五条のみとの任務だけの日々が続いている。五条を待たせると何を言われるかわからない。
「おい」
支度を整えて扉を開ければ、目の前に仁王立ちした五条が待っていた。メーデーメーデー、もう手遅れでした。Aは誰かに救難信号を送った。
『ご、ごめんね五条くん』
「……別に。オマエが倒れてるとかじゃないなら良い」
あと少し遅ければドアを蹴破ってた、と五条の言葉は続き、Aは戦慄した。同級生が割りかし重めの彼氏面をしている、まあつまり好意を抱いてくれているのはわかっているため、アニメに、しかも男にうつつを抜かしているとバレれば不味いな、とは一応思っているのである。
極秘にしておいて3人全員に全力で詰められるのも嫌なので家入には伝えておいたが。
補助監督の車に乗り込み、目的地へと出発する。
『(着くまで確か30分はかかるって補助監督さん言ってたよね)』
Aは癖でガラケーを開く。そして開いた途端に思い出した。
『(そういえば私、ホーム画面の背景……変えて………)』
ロック画面は同級生4人で撮った写真なのだが、Aは昨日テンションが上がってホーム画面の背景を変更していたのだ。何に、なんて無粋な質問はないだろうが、勿論あのアニメの推しにである。
3人の目の前でガラケーを開かなければいい。
明日任務の前には戻せばいい。
そう思っていたことを、うっかり忘れていた。
『(いやでもまだ見られていないという可能性――)』
光の速さでガラケーを閉じ、バッと車窓を眺めようとするが、それは五条の手が阻む。
「A」
地を這うような低い声に、Aはびくりと肩を揺らす。
『な、なんでしょうか……』
「……ふ〜ん?何?とぼける気?」
徐々に五条の体重がAの方へとかかっていく。
近づいてくる五条の顔から距離をとろうと必死にAも後ろへと身体を反らしていくが、ついにカツンと頭が窓にぶつかった。
『(正直に話す!?いやでもカマをかけられてる可能性も全然あるな、やぶ蛇だけは避けたい……!)』
「……ま、い〜や」
『……へ』
あっさりと離れた五条に、つい気の抜けた声が出る。
なんだ良かった、とAが胸を撫で下ろしていると、五条がちらりとこちらを一瞥する。
「――俺にも考えがあるから」
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夢のわたあめ(プロフ) - ユナさん» お返事遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!!!肉こそが全て、と思っている男子高校生らしい選択肢…… (12月10日 22時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - お疲れの夢主を癒す話めっちゃ大好きです!「fish or chicken?」ではなく「肉or肉」で大爆笑しちゃいました! (11月24日 18時) (レス) id: c2a36c0403 (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» こちらこそありがとうございました!是非ピンクのピンを受けとってくださいまし……!✨ (9月27日 7時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 人生ゲーム書いていただきありがとうございます(๑>◡<๑)硝子のツッコミといい私と結婚するだろのセリフヤバすぎます!ときめいた😍‼︎自分もピンクのピン欲しいっ (9月27日 0時) (レス) id: fe39496f9e (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» 2回目のリクエストありがとうございます!!全力で人生ゲームを遊ぶ4人、素敵なシチュですね……✨更新再開後執筆させて頂きます! (9月8日 18時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢のわたあめ | 作成日時:2023年8月8日 14時