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そして現在に至る。
『(いや、これはやはり夢では……?)』
自分の衣服等に干渉された時点でAは幻覚という線は諦めたが、じゃあ今度は夢なのではないかと疑い続けている。
繰り返すがそう簡単に信じられる状況じゃないのだ。
「……お嬢様、これは夢か幻覚か、みたいに思ってそうだから言いますが、現実です。信じられないなら夏油の頬をおつねりください」
「私!?……いや、そうですね。A――じゃなくてお嬢様が傷つくのは見ていられませんし」
家入はAの考えを察するとそう告げる。
夏油をつねっても意味はないので丁重にお断りをしておく。少しガッカリしているように見えるのは何故なのか。
Aが己の頬を引っ張ればちゃんと痛かった。
『現実かぁ……』
Aがとりあえず今の状況を飲み込んだとわかると、無駄に質のいい燕尾服とメイド服を着た3人は、そそくさとAをダイニングテーブルへと案内する。切り替えの鬼である。
「さて、時間が時間ですので軽食となっております、本当はフルコースの用意がしたかったのですが……」
本気で肩を落としている夏油に、もし少しでも早く帰ってきてたらフルコース出されてたの?と困惑の色が強まる。
『ああいや、お気遣いなく……』
「Beef or Chicken ?」
『すごく流暢……じゃあビーフで……?』
五条の質問はキャビンアテンドの言葉では、というツッコミは野暮な気がして押し黙っておく。五条が運んできた料理は本当にお嬢様が食べていそうなものであった。
「それは俺――じゃなかった、僕が作ったものなので、安心して食え――じゃなくてお召し上がりください」
『五条くんが!?!?』
これを?と言う目で見つめれば、凄くドヤ顔されたので事実なのであろう。確かに何でも出来そうではあるしなぁとAは納得した。にしてもハイスペックすぎる気もするが。
『でも食べるにしてもナイフもフォークもない……け…ど……』
嫌な予感がしてそっと顔を上げると、3人がそれぞれナイフとフォークを持って立っていた。
『待って、今君達執事とメイドだよね、距離感、距離感考えて』
「執事と主が禁断の恋してるから大丈夫」
『漫画みたいな設定!!!』
「いや、そっちの執事は噛ませ犬で、私がすでに恋人だから」
「そんで実はメイドが本命で、執事共は勘違い野郎だから」
『実は昼ドラだったりする???』
3人とも引く気はなさそうなので、厚意(?)に甘えることにした。
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夢のわたあめ(プロフ) - ユナさん» お返事遅くなってすみません💦コメントありがとうございます!!!肉こそが全て、と思っている男子高校生らしい選択肢…… (12月10日 22時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - お疲れの夢主を癒す話めっちゃ大好きです!「fish or chicken?」ではなく「肉or肉」で大爆笑しちゃいました! (11月24日 18時) (レス) id: c2a36c0403 (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» こちらこそありがとうございました!是非ピンクのピンを受けとってくださいまし……!✨ (9月27日 7時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
茶々(プロフ) - 人生ゲーム書いていただきありがとうございます(๑>◡<๑)硝子のツッコミといい私と結婚するだろのセリフヤバすぎます!ときめいた😍‼︎自分もピンクのピン欲しいっ (9月27日 0時) (レス) id: fe39496f9e (このIDを非表示/違反報告)
夢のわたあめ(プロフ) - 茶々さん» 2回目のリクエストありがとうございます!!全力で人生ゲームを遊ぶ4人、素敵なシチュですね……✨更新再開後執筆させて頂きます! (9月8日 18時) (レス) id: 4fd2da77ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢のわたあめ | 作成日時:2023年8月8日 14時