流れ星が九つ ページ9
まさか、大きな虫と闘う？なんて予想外だった。
彼が所持している刀など持ってないため、仕方なくこの草で退治するしかなかった。
『ほれ、ほれー(棒)。』
この光景を見ている者は、まるで、私が猫と戯れているかのように、遊んでいると思われるだろう。
すると、羽音が一気に跳び上がり、その図体とは思えない速さで逃げられてしまった。
『これが、草生えるというやつか…。』
ht「いや、生えないよ！冗談抜きで！？」
『やはり、あの虫は虫と同じ性質で出来たモノなんだな。虫が苦手な人には、レモングラスを持つと良いよ。』
ハイっと、ひとらんに渡すのである。勿論、キミの事を話してるんです。
ht「助けてくれたのは、勿論有難いけど！今すぐにでも、君を安全な場所に避難しなきゃだ。……そういえば、君名前は？」
………名前？そうか、私とした事が。どうして、忘れていたのだろうか。
私の名前は_________________________
『……名前が、わから…ない？』
眼を大きくさせたひとらんは、マスクを押さえ、誰かと通話をする。
すると、罰悪そうな顔をして、あまり声を聴き取りたくないが…。
ht「(あんのクソガキ…。)」
…という事だけは、理解した。
まさかと思うが、私の名前がこのプログラムに存在しないなんて、ありえるのだろうか？
少年とはいえ、事の重大なミスを犯すとは、どれほどの謝礼が下さるかな。
ht「待ってて、仮のプロフィール作るから！」
すると、彼の手袋越しから伝わる、ゴツゴツとした男の人差し指。
それを額に当てられ、ブツブツとマスクの下から機械音がする。
ht「chord name...chord nameは、Aで検索した！君の名前は、Aだ！
忘れるな…。俺達にとって、必要なのは名前なんだ。
君は人造人間でも、君は君のままでいなきゃ駄目なんだ！いいね？」
『は、はぁ…承知しました。ありがとうございます。』
緊迫した声で、私の肩に力を置く。
緊急ブザーで鳴っているよりも、ひとらんの中から緊急脱出を求めている状態だった。
名前が思い出せないことで、少し大袈裟では？
否、名前を抜かれたのは、確かに面倒なことをしてくれたな…と思ったが。
そもそも何故、そんなに焦る必要があるのだろうか？
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作者名：み〜と | 作成日時：2024年1月7日 19時
